個人向け商品はなぜピークで増えるのか

プライベートクレジットで特に問題になっているのは、主に個人向けに商品化されたBDCという形態の資金流出だ。ここ数年、クレジット市場が拡大局面にある中で、それまでは機関投資家向けの投資対象だったプライベートクレジットの個人向け商品化が進み、資金が流入した。

このように、市場が良好な局面で初めて個人向け投資商品が立ち上がり、個人マネーが流入するという傾向は、プライベートクレジットに限ったことではない。これまでも、ITバブル期やブラジルレアル建て投資信託、仕組債などでも繰り返されてきた。

市場が良好な局面でこそ、販売側は新規商品の企画が立てやすく、また先行きに対して楽観的な見通しをもって販売しやすいという事情がある。しかし、市場にはサイクルがある。結果として、個人向け商品が積極的に販売されるタイミングは、市場のピーク付近と重なりやすい。

機関投資家はむしろ投資を増やしている

では、個人マネーが流出し始めた現在のプライベートクレジット市場を、どのように見るべきなのだろうか。

興味深いのは、個人投資家の資金流出が続く一方で、機関投資家はむしろ新規投資を積極化させている点だ。彼らは現在の局面こそが、新規投資に適したタイミングだと見ている。

例えば、運用大手のアダムス・ストリート・パートナーズは、2026年4月に新たなプライベートクレジットファンドで約75億ドルを機関投資家から集めた。これは同社の前回ファンドを大きく上回る規模であり、機関投資家が足元の市場環境をむしろ投資機会と捉えていることを示唆している。

背景にあるのは、クレジット市場特有のサイクルだ。市場が拡大局面から後退局面へ移行すると、借り手優位だった環境は徐々に貸し手優位へと変わる。結果として、ローンの条件は厳格化され、貸出金利も上昇し、投資家が取るリスクに対する期待リターンは高まりやすい。