リーマンショックの苦い記憶

資産運用を生業にしている私にも、痛い思い出がある。

リーマンショック直後、妻が全世界株式(オールカントリー)の積み立て投資を始めていた。それも当時の私たちの収入からすれば、決して小さくない金額だった。

ところが私は、たまたま手に取った「世界経済はさらに悪化し、株価は崩壊する」という趣旨の本を読み、下がり続ける株式市場に強い不安を感じてしまった。妻は私のアドバイスを受け、積み立てをやめた。

今でも、あの時、余計なことを言わなければよかったと思うことがある。

後から振り返れば、リーマンショック後は長期投資家にとって極めて魅力的な投資開始時期だった。しかし、その渦中で冷静にそう考えることは容易ではない。

危機局面で個人マネーは流出する

実際、市場が悪化すると、個人マネーは去りはじめる。新規の流入は大きく減少し、既存投資家の一部は損切りを行う。

背景にあるのは人間心理であり、その心理は日々接する情報や市場を巡る論調に大きく左右される。危機局面では、将来の不安を強調する情報ほど強い説得力を持ってしまう。

現在のプライベートクレジットを巡る状況にも、どこか似た構造を感じる。