<前編のあらすじ>

IT企業経営者として栄華を極めた「私」は、事業失敗により1億2000万円の負債を抱え、タワマンから築40年のアパートへ移ることに。

それでも「社長のプライド」を捨てきれず、再起を誓いながらも現実は深夜の警備員バイトで食いつなぐ日々だったが、ある夜、バイト中の姿を最愛の娘・美咲に目撃されてしまう。

無言で涙を流す娘。すべてが終わったと、「私」は絶望の淵に立たされた。

●前編:「パパ、その格好何?」都心タワマンから築40年アパートへ…プライドを捨てきれない父親が深夜の国道で直面した「最悪の瞬間」

「私が怒ってるのは、そんなことじゃない!」

「……そんなところで、何してるの?」

震える美咲の声が、工事現場の騒音を切り裂いた。

私は反射的に誘導灯を背後に隠したが、意味のない抵抗だった。オレンジ色の反射ベスト、安全靴、ヘルメットから覗く白髪の混じった髪。隠しようのない「今の私」がそこにあった。

「美咲、これは……その、仕事なんだ。すぐ立て直すから。お前に恥ずかしい思いはさせないから」

必死に言葉を繋ぐ私を、美咲はただじっと見つめていた。その沈黙に耐えられず、私は卑屈な言葉を重ねてしまう。

「情けないだろ。社長だったパパが、道路で車を止めてるなんて。お前も、友達に言えないよな。こんな父親……」

逆上にも似た、自己憐憫。しかし、次の瞬間、美咲が放った一言に、私は言葉を失った。

「……何が恥ずかしいの?」

「え?」

「パパが私たちのために、夜中にこんな寒いところで働いてくれてること、何が恥ずかしいのよ! 私が怒ってるのは、そんなことじゃない!」