問題は「信用」ではなく「設計」

こうして見ると、今回の問題の本質は少し違って見えてくる。

焦点は「融資先が悪いのか」ではなく、「どのような仕組みで投資商品が作られているのか」にある。

プライベートクレジットは本来、すぐに売買できる資産ではない。

それにもかかわらず、「一定のタイミングで解約できる」という設計が加わることで、

•    実際の流動性

•    投資家に約束された流動性

の間にずれが生じる。

このずれが、今回のような局面で一気に表面化したのである。

日本の投資家にも無関係ではない

この話は、海外の一部のファンドに限ったものではない。日本でも近年、プライベートクレジットに投資する公募投資信託が増えている。

実際には、こうした公募投資信託の多くは、海外の非上場BDCを投資対象としており、構造的には同様の特徴を持っている。

現時点では、日本で大きな解約の動きが広がっているわけではないが、

•    流動性の低い資産に投資していること

•    一定の頻度で解約が可能であること

という基本的な構造は共通している。

こうした商品では、平時には問題とならない仕組みでも、市場環境が変化した際には投資家行動に影響を与える可能性がある。

海外と同様に市場価格との乖離が意識される局面になれば、解約のインセンティブが高まることも考えられる。

重要なのは、こうした動きが必ずしも「市場の異常」や「投資家のパニック」によるものではなく、商品設計に内在する構造から生じうるものであるという点である。