「同じ資産なのに価格が違う」という違和感

鍵となるのは、上場BDCと非上場BDCの違いである。

上場BDCは株式市場で取引されるため、投資家の不安はすぐに価格に反映される。足元では価格が大きく下落しているケースが多い。

一方で、非上場BDCには市場価格がなく、評価額(NAV)で価格が決まる。この評価は月次や四半期ごとに見直されるが、価格の変化は比較的緩やかである。

その結果、同じような資産に投資していても、
•    市場では値下がりしている
•    しかし解約価格はそれほど下がっていない
という状況が生まれる。

「1ドルで売れるなら売る」という行動

このずれは、投資家にとって非常に分かりやすいインセンティブを生む。

市場が80セントと評価している資産を、1ドルで解約できるのであれば、多くの人は売る。これは特別な判断ではなく、ごく自然な行動である。実際、非上場BDCの多くは、四半期ごとに一定割合まで解約できる仕組みを持っている。

この仕組みは通常時には問題にならないが、価格のずれが生じた瞬間に、「先に出た方が有利」という状況を生み出す。

結果として解約請求が集中し、一部のファンドでは解約制限がかかる事態となった。ここで重要なのは、この動きがパニックではないという点である。むしろ、合理的に考えればそう動く、というだけの話である。

今回の動きは「取り付け騒ぎ」というよりも、価格の乖離(かいり)に対する合理的な行動と捉えるべきである。