正しさの裏側にある苦しさ

午後3時を過ぎたころ、三花はダイニングテーブルに広げたメモと受信メールを見比べながら、先方から届いた修正指示を整理していた。

侑大の案件はこの数カ月で目に見えて増え、打ち合わせの回数も、クライアントとのやり取りの量も以前とは比べものにならない。三花はその流れに追いつこうと必死だった。

「侑大、この画像差し替えって、トップだけでいいんだよね」

画面を見たまま、侑大が答える。

「いや、下層もだよ。前にも同じパターンあったじゃん」

「そっか。ごめん、確認不足だった」

「ていうか、そのくらいは流れで分かるようになってほしいんだけどな」

決して理不尽に責め立てているわけではないし、会社にいたころの上司たちとは違う。それでも、侑大の一言で三花の指先はぴたりと止まった。

「……ごめんね」

しばらくして見積書の最終確認をしていると、侑大が横から画面をのぞき込んだ。

「ここ、修正回数が空欄になってる」

「あ……ほんとだ」

「前にも言ったよね。そこが抜けると、先方から無限に差し戻される可能性があるって」

「ごめん」

「謝るより、覚えてほしい。毎回こっちで見直すのは無理だから」

三花は唇を結び、文面を修正した。

間違えたのは自分だ。侑大の指摘は正しい。しかし、彼に注意されるたび、胸の内側に何かが少しずつ積もっていくような感じがした。