もう隠しきれない嘘の重さ

機をうかがっていたら食事は終わってしまい、瑞穂は鼻歌を歌いながら皿を洗っていた。誠也はソファに座りながら、そんな機嫌のいい瑞穂になんて説明するかを絞り出していた。皿洗いが終わった後、瑞穂はビールを持って隣に座ってきた。

「それで旅行のことなんだけどさ」

「いや、まあうん、旅行な……」

誠也としてはまず旅行を諦めてもらう方向に話を持っていこうと考えた。瑞穂はそんな誠也の気持ちを察して質問をしてきた。

「もしかして旅行は行きたくない……?」

「行きたくないわけじゃないけど、もっとこう将来のことを見据えたお金の使い方をしたいなと思って」

誠也はとりあえず思いついた言い訳を口にしてみた。しかしそれを聞いて瑞穂は目を伏せた。

「……確かにそう、だよね。子どもだってほしいし、そのために貯金しておかないとダメだよね……」

「……うん。そ、そうだよな」

「ごめん、ちょっと私浮かれちゃってた。やっぱり当選金は子どものために使ったほうがいいよね。それにハワイ旅行だって子どもと一緒に行ったほうが絶対に楽しいもん」

もうだめだ、と思った。これ以上は隠しておけない。どれだけ悲しませることになろうとも、怒らせることになろうとも、誠也はこれ以上、自分の吐いた子どもじみた嘘を抱えていることができなかった。

「瑞穂! 本当にごめん! 本当にごめん! 全部嘘なんだ! 宝くじは嘘! 1000万も嘘なんだ! 本当にごめん!」

誠也はソファに額をつけて瑞穂に謝罪をした。もっと上手な伝え方があったと思うが我慢ができなかった。自分のついた嘘のせいで瑞穂が喜んでくれるならまだしも、反省までさせてしまったことが許せなかった。

「お前は何も悪くない! 悪いのは全部俺だ! 本当にごめん!」

「……どういうこと? 全部嘘だったの?」

「ごめん! 年度末ジャンボ宝くじなんて存在しないんだ! 当選画面も俺が作ったものなんだよ! エイプリルフールだから、ふざけてしまったんだ……!」

誠也がすべてを吐露すると、しばらく間を置いて瑞穂が声をかけてきた。