デートの最後に待っていた言葉

結局、百合子の家に到着するまでなんとなく気まずい雰囲気のままだった。

「きょ、今日はありがとう。また、どこか行きたいところがあったら言ってよ。今度はそこに行こう」

「……うん、そうね」

百合子は真顔のままうなずいた。

「俺もいろいろとリサーチはしておくからさ。どう? 来週とか行ける?」

「……多分、大丈夫」

「そ、そう! よかった。いやぁ、百合子とデートに行けるって楽しみがあれば仕事を頑張れるよ」

博樹は無理やり笑顔を作ったが百合子は無表情のままだった。

これ以上しつこくしても火に油だと思い、引き下がることにした。次こそはもっとうまくやろうと博樹は心に誓った。

「それじゃ俺はレンタカーを返しに行くから」

博樹がそう言うと百合子はうなずきドアの取っ手に手をかけた。

「あ、今日のお金は後日に清算してくれたらいいからね」

デート終わりで疲れてるかもしれないしお金のやりとりは後日にしようと気遣った発言をしたつもりだった。しかし百合子は目を見開き、信じられないという表情を向けてきた。

「……え? それを払えってこと……?」

「あ、ああ。割り勘ってことで……」

博樹の言葉に百合子は眉根に深いしわを寄せた。

「最悪なデートの上にお金まで取るなんて……!」

それだけ言うとお金を支払わず、車を降りて帰って行ってしまった。取り残された博樹は呆然として正面玄関に入っていく百合子の背中を見つめるしかできなかった。

●同期の百合子と初めての本格デートに出かけた博樹。いちご狩りでのハプニングをきっかけに百合子の機嫌を損ね、さらにデート代の精算を持ちかけたことで決定的な亀裂が走ってしまう…… 後編【1万円を握りしめたまま帰宅した男性…「合わなかった」と認めるまでの同期カップル崩壊の記録】にて、詳細をお伝えします。

※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。