DCを資産形成の中核へ 無関心層を動かす仕掛けと実践事例

DCの機能を十分に発揮させるためには加入者の関心・利用を高める方策が欠かせません。そこで3つの改善策をご紹介します。

改善策① 全員が参加できる「正当理由」を作る

一斉研修は現場に敬遠されがちな上、必要な人に限って参加しないという課題が存在します。有効なのは正当な理由を作って研修を行い、その機会に制度説明や投資教育を実施する方法です。具体例として、運営管理機関の評価・交代、商品ラインアップの見直し、26年4月のマッチング拠出制限撤廃や26年12月の掛金限度額引き上げといった法改正のタイミングが挙げられます。

改善策② 関心を行動に変えるための仕組みをイベントに組み込む

「従業員が話を聞くだけで行動に移してくれない」「関心が持続しない」という課題には、イベントの場でDCアプリをインストールしてもらう方法が役立ちます。社給スマホへの配備や生体認証の活用、プッシュ通知なども利便性を高める方法の1つです。利用のハードルをできる限り取り除くことが制度活用の促進につながります。

・A社の事例(従業員数1,100人、食品製造業)
DC導入時のセミナーでアプリ設定、運用指図、マッチング拠出申し込み(意思表示)を実施した結果、投信比率96%、アプリインストール率92%、WEBログイン率64%、マッチング拠出利用率50%など、すべての指標で高い結果が得られました。

改善策③ 効果測定の仕組みを導入する

「投資教育の成果を評価する指標がない」「従業員が本当に理解して投資しているのか分からない」という課題もあるでしょう。そもそも投資教育の効果を可視化する評価軸がなければ取り組みの継続自体が問われかねません。定期的なアンケート調査によりファイナンシャル・ウェルビーイング(FWB)などの水準を計測する効果測定を行い、社内で共有する方法をおすすめします。

・B社の事例(従業員数3,500人、サービス業)
商品追加・除外のイベント時に、ID・パスワード再通知、eラーニング・テストの実施、金融リテラシー計測を行いました。加えて継続教育自体も毎年実施した結果、投信比率は70%に達しています。

企業は提供する資産形成制度の役割・位置づけを整理し、自社に合った活用方法を検討する必要があります。中でも今後はDCを積極的に活用していくことが鍵となるでしょう。DCは「導入して終わり」ではなく、加入者が主体的に動ける環境を整えてこそ真価を発揮します。今回ご紹介した改善策と事例が少しでもお役に立てば幸いです。

MUFG資産形成研究所 所長
日下部 朋久氏