インフレが進む中で家賃市場が高騰しています。東京23区の賃料は2025年に単身向け、ファミリー向けともに過去最高を更新しました。都内の場合は、そもそも資材費や人件費の値上がりを受けてマンション価格が上がり、さらに、転入人口の増加で需要が供給を上回る状態が続いていることも影響しているようです。そうした中、急激な家賃上昇についていけず、実家に戻る20~30代シングルが増えているのだとか。アラサーの中村麻央さん(仮名)もその1人です。就職した年に都下の実家を出、東京・北千住で一人暮らしを満喫していましたが、昨年、賃貸マンションの値上げを機に退去し、実家に戻りました。しかし、8年ぶりの実家では想定外の出来事が待ち受けていて……。「私の居場所はなかった」と話す中村さんに、詳しい話を聞きました。
〈中村麻央さんプロフィール〉
東京都在住
30歳
女性
会社員
父、母、弟と4人家族
金融資産120万円(NISA含む)
日曜の朝から突きつけられる非情な現実
「麻央ちゃん、今日はお休みでしょ? お父さんと大地のご飯、よろしくね。天気良さそうだから洗濯もお願いできると助かるな」
久しぶりにゆっくり寝られると思った2月の日曜日の朝。まだ薄暗い時間に叩き起こされ、半分閉じた目で箱根に日帰り旅行に出かけるという母をベッドの中から見送りました。
本来なら「疲れてるんだから寝かせてよ」と言いたいところですが、“家主”の母に文句を言える身分ではありません。重たい体を引きずるようにして階段を下り、寒々しいキッチンでお湯を沸かして朝食の支度に取りかかりました。
