2012年情勢時並みで27年家計負担+3.6万円
さらに、原油高となれば、化石燃料はドル取引がメインのため、ドル需要が高まる観測が強まる一方で、日本の貿易赤字拡大観測も相まってドル高円安が誘発されやすくなる。
以下では、家計への影響を見てみよう。原油価格が上昇すると、タイムラグを伴って消費者物価へ押し上げ圧力が強まることがわかる。事実、2006 年1月以降の原油価格と消費者物価の相関関係を調べると、円建てドバイ原油価格の+1%上昇は10か月のタイムラグを伴い消費者物価を約0.015%程度押し上げる関係がある(図表2)。
そこで、より現実的な家計への影響について、今後のドル円レートを不変と仮定し、今年度後半以降の原油価格の水準を場合分けして試算すれば、今年3月以降の原油先物価格が直近1年平均の67ドル/バレル程度に落ち着けば、10か月後となる27年の消費者物価前年比への影響は不変となる。しかし、今後1年間の原油先物価格がロシアのウクライナ侵攻のあった2022年平均並みの97ドル/バレル台、もしくは核開発問題をめぐる西側諸国とイランの混乱があった2012年平均並みの109ドル/バレル程度で推移したとすれば、直近1年間の平均ドル建て原油価格は前年比でそれぞれ+45%、+64%になる(図表3)。
従って、今後のドル円レートが不変と仮定し、政府の物価高対策の影響を考慮しなければ、2027年の消費者物価をロシアのウクライナ侵攻並みで+0.08%、90ドル/バレルで+0.7%、2012年のイラン情勢並みで+0.9%程度押し上げる圧力となり、家計に負担が及ぶことになる。
そこで、具体的な家計への負担額として2025年における二人以上世帯の年平均支出額約376.8万円(総務省「家計調査」)を基にすれば、2027年の家計負担をロシアウクライナ侵攻並みで前年比+2.5万円、2012年イラン情勢並みで同+3.6万円程度増加させる計算になる。