現金収支は7年ぶりマイナス計画 大型投資の狙いは?

もう1つ、決算で気になる点がキャッシュフローです。今期(26年12月期)のフリーキャッシュフローは探鉱投資前で200億円のマイナスを予想しています。前期は同1380億円のプラスであり、差し引き1580億円の悪化となる想定です。フリーキャッシュフローのマイナスは19年3月期以来で、負債での資金調達を計画しています。

キャッシュフローの赤字予想は成長投資が主因です。今期は8500億円と、前期の3869億円から大幅な増加を見込みます。INPEXは翌27年12月期までの3年間で1兆9000億円の投資枠を設定しており、今期で65%まで進捗する計画です。

投資の積極化は当面の収益構築が狙いです。次期の柱となるアバディ事業※は生産開始が30年代初頭の見込みであり、それまでの収益が課題となっています。INPEXは20年代後半~30年代前半の収益の獲得を目指し、足元で投資を強めています。

※アバディ事業…INPEXがオペレーターとして参画するインドネシアの大規模液化天然ガス開発事業

8500億円の投資のうち、2820億円はアブダビでの増産対応といった既存案件の増強に振り向けます。また、権益の取得やM&Aといった新規取得にも1060億円を投じる計画です。新規取得は即効性の高い案件もあり、今期または27年12月期での収益貢献も想定します。

大型の投資は収益力の向上が期待される一方、財務への影響も気になるところです。もっとも、INPEXは自己資本が4兆円台後半と厚く、影響は限定的と説明します。ネットDEレシオ(※)は今期に0.04ポイント上昇する計画ですが、着地は0.39倍と目安の0.3倍~0.5倍にとどまる想定です。

※ネットDEレシオ…(有利子負債+リース負債-現金および現金同等物)÷自己資本。イクシス下流事業会社を含む

INPEXの自己資本(2017年3月期~2025年12月期)
 
出所:INPEX 決算短信より著者作成