そもそも金急騰の背景にあったものは何か

このように、長期にわたって金とプラチナの価格逆転と価格比差の拡大が続いたのは、コロナ禍や地政学リスクの高まりなど、世界的に先行き不透明感が漂うなか、より確からしい資産のひとつとして金が注目されたからと言えそうですが、最大の要因は、やはり中国の買いでしょう。

中国の中央銀行である中国人民銀行は、準備資産として金の保有を高めています。1月7日に発表されたデータによると、中国人民銀行が保有する金は、昨年12月にも3万トロイオンス増え、14カ月連続で増加しました。結果、直近の金保有量は約2306トン(7415万トロイオンス)となり、準備資産に占める金の比率は、かつての1%程度から、現在は8.5%程度まで上昇しています。

ワールド・ゴールド・カウンシルのデータによると、世界の中央銀行が保有している金の総量は、2023年10月が3万5885.6トンで、2025年10月が3万6492.1トンと増えています。中国を筆頭に、トルコ、ポーランド、カザフスタン、ブラジル、イラク、エジプト、ギリシャ、チェコ、セルビア、キルギス、ガーナ、といった国が、準備資産における金の保有量を増やしています。

共通点は、その多くが新興国の中央銀行であることです。かねてより、中央銀行が保有する準備資産は、米国債が中心でした。つまり米ドルで保有していたわけですが、ロシア・ウクライナ戦争を機に、先進国はロシアの外貨準備を凍結しました。これが引き金となり、特に新興国においては政治的な対立によって、自国の米ドル資産が凍結されることを恐れました。

加えて、世界的な地政学リスクの高まりや、経済面の脆弱さから突発的なインフレが生じた場合の耐性を高める目的で、金を準備資産として保有する動きが強まったとも考えられます。

いずれにしても、こうした中央銀行が準備資産として金の保有を増やしたことが引き金となり、金価格には強い上昇圧力が加わりました。