高市政権が掲げる17分野への投資促進は、短期的な景気刺激策にとどまらず、日本経済の未来を再構築する壮大な試みと言える。エネルギー安全保障、半導体、防衛、GX・DX、少子化対策、地方創生といった国家的な課題は、市場原理任せでは十分な投資が進まず、国家による積極的な関与が不可欠だ。この国家的な挑戦を支える上で避けて通れないのが財源の確保である。
増税には政治的な制約があり、歳出削減にも限界がある以上、国債発行は現実的な選択肢であり続ける。
こうした中、問われるべきは「どれだけ発行するか」という量的な問題だけでなく、「誰に、どのような形で保有してもらうか」という、より本質的な制度設計の巧拙ではないかと思う。
金利上昇の「追い風」と、その先の持続性
財務省の公表データによると、近年の金利上昇を受け、個人向け国債発行額は、令和5年が約3.5兆円、令和6年が約4兆円、令和7年が約5.3兆円と右肩上がりで増加している。ちなみに、直近の令和8年1月募集の個人向け国債の金利(税引前)は、3年固定金利型で年1.39%、5年固定金利型で年1.59%と、2003年の発行開始以来、最高レベルの利回りが設定された。銀行の預金金利に比べ、魅力的な水準となっており、さらなる発行額の増加が見込まれる。
しかし、この「追い風」がいつまでも続く保証はない。金利環境は常に変動するものであり、金利水準に依存した販売戦略では、風向きが変わった途端に勢いを失う可能性がある。
真に持続可能な国債消化を実現するためには、金利の変動に左右されない、より強固な制度的基盤を構築することが不可欠だ。以下、筆者なりに、この課題に対する施策を考えてみた。
NISAによる安定資産枠の創設
第一に、NISAにおける国債の位置付けの見直しだ。
新NISAの導入により、「貯蓄から投資へ」の流れは加速したものの、依然として家計金融資産の過半が現金・預金で占められており、その額は1,100兆円超に達する。この巨額な資金の多くは、依然として投資への最初の一歩に対する「不安」から、制度の外にとどまっているものと思われる。
そこで、NISAの対象商品に国債や国債連動型商品を加えては如何だろうか。これにより、投資意欲はあるもののリスク許容度が低い層を市場に引き込む強力なインセンティブとなる。
なお、以前も取り上げた通り、国債のNISA対象化については、25年11月20日に開催された参議院財政金融委員会において、国民民主党の委員からも、「英国のISAに倣い、日本でも国債をNISAの対象にすべき」との提案がなされていることを付け加えておく。