相続税インセンティブの導入を

第二は、長期保有を促す相続税インセンティブの導入である。

国債は、短期的な売買の対象となるよりも、長期にわたり保有されてこそ、その安定的な資金調達手段としての真価を発揮する。そこで、一定期間以上保有された国債について、相続税評価の一部軽減を認める仕組みを導入すれば、国債の保有期間の粘着性は飛躍的に高まる。

また、相続人が国債を引き継ぎ、これを一定期間保有した場合に追加的な控除を認める設計とすれば、国債は世代を超えて保有される資産となる。これは国にとって安定的な資金調達手段となるだけでなく、家計にとっても計画的な資産承継の選択肢を広げることにつながる。国債を売って終わりの資産から、引き継ぐ資産へと位置付け直すのだ。

法人向け個人国債の創設

個人向け国債の販売促進について議論する財務省主催の「国債トップリテーラー会議」では、国債消化の裾野を広げるための新たな試みとして、個人向け国債の法人版の創設が検討されている。これは、単なる国債の販売促進にとどまらず、企業の余剰資金をより安定的な形で国の財政に還流させる可能性を秘めている。

ここでポイントとなるのが、既存の新窓販国債との違いだ。

新窓販国債は、市場で流通する利付国債を個人・法人向けに販売するもので、市場金利に連動するため価格変動リスクを伴う。よって、投資家は、市場価格の変動により元本割れする可能性を考慮する必要がある。

一方、検討が進んでいる個人向け国債の法人版については、個人向け国債と同様に、発行後1年経過すれば中途換金が可能で、元本保証が前提となる商品設計が想定されている。変動金利型であれば、金利上昇時には利回りが向上し、金利変動リスクを抑えつつ、安定的な運用が期待できる。

この法人版の導入は、企業の運転資金や内部留保など、比較的短期間で使う予定のある資金の運用先として、大きな魅力を提供するだろう。特に企業の資金担当者は安定性と安全性を重視する傾向が強く、元本保証型の商品に対するニーズは高い。新窓販国債が投資性商品としての性格が強いのに対し、個人向け国債の法人版は、より預金に近い感覚で利用できるため、これまで国債投資に慎重だった企業や宗教法人、マンション管理組合などの資金を引き出す有効な手段となり得る。