日本証券業協会は2026年、戦略分野へ海外から投資マネーを呼び込もうとする高市政権の方針と足並みをそろえるように、日本企業への投資を呼びかけるPR活用に注力する予定としています。日比野隆司会長は定例会見で、「日本企業の過小評価を解消する」と発言。NISAを通じた国内投資促進、暗号資産ETFにも言及した協会長の発言の注目点を整理します。
日本企業の過小評価を解消する
日比野隆司・日証協会長は12月17日に開かれた定例記者会見で、2025年の1年間を振り返り、「証券口座不正アクセスなど問題も多々あったが、そうした障害を乗り越え、『貯蓄から投資へ』が本格的に軌道に乗った1年だった」と総括。「今年の漢字は熊、つまりベアだったが、証券界として今年の漢字を挙げれば牛、ブルの年だった」と述べました。
来年の市場見通しについては、「年末にかけて(日経平均)6万円に接近するイメージを現状で持っている」と説明。「企業業績は好調で、来期については2桁増益がコンセンサスレベルであり、特段のことがなければ6万円を目指すマーケットになってもおかしくはない」と述べました。一方、個人的見解として中国の国内経済の低迷、日中関係の冷え込みに触れ「中国関係はちょっとリスクがある」とも指摘しました。
円高進行のリスクについては「株式市場は気にしているが、企業業績や株価に対する為替のインパクトは以前と比べてずいぶん小さくなっており、そこまで心配することではないかと思う」と説明。「外国への投資がコンスタントに続き、デジタル赤字もそれなりに増えていく状況なので、一方通行の円高はなかなかイメージしにくい。長期金利については財政拡張に伴う国債増発懸念から緩やかな上昇というのが続くというのが一般的な見方ではないか」と述べました。
NISAについては、「『オルカン※』を中心として、特につみたて枠に関しては国外へ資金が出ていくのはどうなのかという声は当初からある。それに対し、『国際分散投資の観点からまだ目くじらを立てるようなレベルではない』といった声もある」とした上で、「私個人としては、日本企業の過小評価を解消したいと思っている」と説明。その上で、「日本企業、特に上場している大きな企業群は国際展開をしており、為替リスクは企業のプロフェッショナル、財務でコントロールしながら世界へ投資していることになる。日本のマクロの状況と企業のミクロが混同され、日本企業への将来性や実績を過小評価しがちなところがあるので、(株価が)安くなって外国人が買ってくるという繰り返しが起きる。日本企業自体が魅力と成長力を高めることをベースとして、これから投資をしようとする普通の人々にそれを分かりやすく伝えていくということが証券界の1つのミッションだ」と語りました。
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