新事業「ホワイト・ジャック・プロジェクト」 手薄の予防医療を補完

最後に新事業を押さえておきましょう。エムスリーのメディカルプラットフォーム事業には「ホワイト・ジャック・プロジェクト」と呼ばれる事業があります。同事業は予防医療の分野で、22年にスタートしました。

ホワイト・ジャック・プロジェクトは、主に企業向けサービスを通じ、従業員健康データ管理や産業医派遣を提供しています。成長スピードは早く、サービスを通じカバーする従業員の数は25年9月末で700万人に達しました。成長スピードはM&Aが貢献しており、ハピネス・アイ(現・エムスリーヘルスデザイン)からイーウェルまで計5社を買収しています。

ホワイト・ジャック・プロジェクトは、これまでとは異なる事業領域です。エムスリーは従来、疾病発症後の分野で、医療従事者向けにサービスを展開してきました。ホワイト・ジャック・プロジェクトは、発症前かつ一般の消費者向けのサービスです。手薄だった領域の補完により収益の上乗せが期待されます。

予防医療は継続的な成長が見込まれています。経済産業省によると、ヘルスケア産業(健康保持・増進に働きかけるもの)の市場規模は20年に18.5兆円)でしたが、30年には同30.9兆円まで、50年には59.9兆円まで拡大する見通しです(出所:経済産業省 健康・医療新産業協議会資料)。ホワイト・ジャック・プロジェクトは、エムスリーの成長ドライバーとなるかもしれません。