注目は製薬企業マーケティング支援 予算削減は逆風もDX化に商機

株式市場に再成長を納得させるには、「メディカルプラットフォーム」がカギとなるでしょう。同事業はエムスリーの主力ですが、コロナ禍で大きく成長した領域であり、近年は伸び悩んでいます。

【セグメント情報(25年3月期)】

エムスリーのセグメント情報(25年3月期)を表した図表
 

※メディカル…メディカルプラットフォーム、エビデンス…エビデンスソリューション、キャリア…キャリアソリューション、サイト…サイトソリューション、ペイシェント…ペイシェントソリューション

出所:エムスリー 投資家向けレポート
 
エムスリーのセグメント利益(2018年3月期~2025年3月期)
 
出所:エムスリー 決算短信より著者作成
 

メディカルプラットフォーム事業で懸念されるのが、製薬企業の予算縮小です。製薬企業は営業コストを抑制してきており、受け皿となる製薬企業マーケティング支援には逆風です。投資家がエムスリーに懐疑的なのは、この懸念が背景にあるとみられます。

一方で、実はこの構造にはエムスリーへの追い風も含まれています。製薬企業は、単にコストを削減しているのではなく、インターネット上の営業活動には予算を積み増している状況です。この領域は製薬企業マーケティング支援の中核であり、盤石な医師会員基盤を生かした営業のデジタル化サービスを提供しています。製薬企業の営業のデジタル化は、エムスリーにとって商機となるでしょう。

エムスリーは、製薬業界のインターネット営業予算は現在700億円と試算しますが、将来的に2000~3000億円にまで拡大すると予想します。エムスリーは提案力を強化し、製薬企業の本格的なデジタル化パートナーとしての地位獲得を目指します。この効果が決算で確認されれば、株価は本格的な復活へ向かうかもしれません。