今期は一次電池が好調で増収増益 トランプ関税には警戒
最後に今期(26年3月期)の状況を解説します。決算は中間期まで公表されており、売上高が前年同期比2.4%増、営業利益が同21.0%増となっています。中核の電池事業は、角形リチウムイオン電池撤退による販売減少や原材料(銀)の高騰の影響を受けつつも、車載用や医療機器用といった一次電池が好調で増収増益を果たします。
通期でも増収増益の見通しです。電池事業は引き続き一次電池がけん引することを見込みます。ただし、銀価格の高騰は売価への転嫁にタイムラグが発生する想定で、利益は下振れる展開もあるかもしれません。
【マクセルの業績予想(26年3月期)】
・売上高:1365億円(+5.2%)
・営業利益:100億円(+7.3%)
・純利益:70億円(+71.1%)
※()は前期比
※同第2四半期時点における同社の予想
出所:マクセル 決算短信
なお、マクセルは製品の一部が米国関税の影響を受けています。直接的な影響には値上げや生産拠点の移管で対応しつつも、グローバルでの景気減速に発展すれば間接的に悪影響を受ける可能性を認識しています。このため、中間期までの進捗は想定を上振れたものの、通期の見通しは据え置かれました。
米国の関税は公表当初から縮小方向にあることを踏まえれば、見通しはやや保守的といえるでしょう。外部要因は懸念されますが、現在の状況が続くなら上振れが期待されます。次の決算では、通期予想の修正があるかもしれません。第3四半期の決算は例年1月下旬に公表されています。