売上高下方修正も経常利益上方修正
12月15・16日に公表された12月短観の大企業調査は、11月上旬~12月上旬にかけて資本金10億円以上の企業約1700社に対して行った調査であり、先日公表された法人企業景気予測調査に続いて、今期業績予想の先行指標として注目される。
そこで本稿では、同調査を用いて、1月下旬から本格化する四半期決算発表で今年度業績計画の上方修正が見込まれる業種を予想してみたい。
資料1は、12月短観の調査対象大企業(全産業、除く金融)が計画する半期別売上高・経常利益前年比の推移を見たものである。まず売上高を見ると、25年度は年度全体で下方修正となっている。
一方、経常利益を見ると、25年度下期は前回から下方修正となったものの、25年度通期で見れば上方修正となっている。このことから、四半期決算発表では25年度の企業業績見通しを引き上げる企業が増えることが予想される。
売上高上方修正の「鉱・採石・砂利採取」「その他製造」「宿泊・飲食サービス」
続いて、12月短観の売上高計画を基に、大幅上方修正が見込まれる業種を選定してみたい。資料2は25年度の業種別売上高計画の前年比と修正率をまとめたものである。
結果を見ると、25年度も多くの業種で増収計画となる中で、最大の上方修正率となっているのが「鉱・採石・砂利採取」である。それに続くのが「その他製造」となり、以下「宿泊・飲食サービス」「電気機械」「その他情報通信」と続く。
まず、「鉱・採石・砂利採掘」と、プラスチック製品やゴム製品、なめし革・同製品・毛皮などが含まれる「その他製造」は、いずれも経常利益計画が上方修正されているものの、減益計画となっているため、これまでの原材料価格高騰や人材不足等に伴う人件費高騰等のコスト高に応じて価格転嫁が進んだ可能性が示唆される。
一方、「宿泊・飲食サービス」の上方修正については、万博などに伴う国内旅行やインバウンド消費が活発だったことに加え、円安や原材料高、人件費高騰等に伴う値上げも追い風となっていることが考えられる。
また、「電気機械」の上方修正は、生成AIブーム等に伴うITサービスに対する堅調な需要拡大が織り込まれたことが推察される。
なお、「その他情報通信」は、放送、インターネット附随サービス、映像・音声・文字情報制作などが含まれることから、こちらも特にインターネット付随サービス等の需要が高まっていることが予想される。
従って、次の四半期決算における業績見通しでは、こうした業種に関連する企業について売上高計画がどの程度上方修正されるかが注目されよう。