それでも市場に居続けるしかない

しかし、だからといって、株式投信で資産形成をする私たちは、「AIバブルかもしれない、暴落があるかもしれない」と予測して全部を売って撤退し、下がりきったところで買うという「ギャンブル」をすべきではないでしょう。

「ギャンブル」なんて言葉は不適切かもしれませんが、株式市場でAI銘柄が暴落する直前に全売却し、また上がり始める直前に買い戻すという、2回の奇跡的なタイミングを当てなければならないとしたら、それは多分にギャンブル的です。

実際のところ、今がAIバブルで、関連銘柄の株価がいずれ暴落するのかどうかは、私も含め誰も分かっていません。

今、巨大IT企業がすごい勢いでデータセンターを作ったり、ベンチャー企業を買収したりしていても、AIがどのように社会を変え、どれほどの収益を生むかの具体的な姿は、誰にもまだハッキリと見えていないのです。

そういう意味では、どこかでAIのマネタイズ(企業としての収益化)面の厳しさが白日のもとに晒されるような出来事が起こり、関連銘柄の株価が大きく下落する可能性はゼロではありません。少なくともS&P500の上位にいる企業たちの全員が全員、「勝者」になることはないでしょう。

その際には、S&P500もオール・カントリー指数もそれ以外も、ほとんどの株式投信は皆、手痛い下落を見ることになるはずです。しかし多くの人にとって、それにも粛々と付き合うしかないのが、株式投信による資産形成・資産運用です。