生きがいややりたいことがない早期リタイアは幸せになれない?

さて、途中経過はどのような形であれ、1億円の資産形成を達成したとします。そこで早期リタイアの道に踏み入れたとします。FIRE大成功ということです。

ところが、FIRE後にあまり幸福度を感じられないというケースがあります。誰もがうらやむ資産を手にしているのだし、仕事もしなくてすむわけですから幸福であるのは当然と思うかもしれませんが、なぜでしょうか。

試しに「FIRE卒業」というキーワードで検索してみてください。そうすると、高額の資産を貯めてFIREした人が、仕事を辞めたはずなのにまた働き始めるような記事がヒットします。

私たちは「仕事はストレス」と思っていますが、「仕事をしなくていいけれど、特に他に何もやることがないというストレス」もあるのです。

仕事はしなくていいけれど、誰とも会わない毎日(同級生たちは会社員なので忙しい)、やりたいことは何もない毎日(最初は旅行など楽しむが、あっという間に飽きてしまう)が無限に続く方がつらいと感じるため、また働き始めるのです。

人は何らかの生きがいを持たないと幸福度が高まりません。それは人間的・社会的なつながりだったり、自分が何らかの役割を持っていることだったりします。会社員は案外、仕事を通じてウェルビーイングを手に入れているのかもしれません。

だとすれば、FIREチャレンジャーにとって大事なのは資産形成よりむしろ「仕事をしなくてよくなったら、毎日夢中になって取り組める生きがい」を見つけておくことかもしれません。