各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、広島銀行のデータをもとに解説。

広島銀行の投信売れ筋ランキングの2022年8月のトップは6月以来3カ月連続で「ピクテ・ゴールデン・リスクプレミアム・ファンド」になった。第2位も3カ月連続で「世界経済インデックスファンド」だった。第3位には前月第5位だった「りそなラップ型ファンド(安定成長型)」が上がり、前月第6位だった「次世代米国代表株ファンド『メジャー・リーダー』」が第4位に上がった。また、前月の第9位から「フィデリティ・Jリート・アクティブ・ファンド」が第5位にジャンプアップした。

 

期間よっては、「バランス・ファンド」のほうが上昇することも…

広島銀行の売れ筋ランキングでは、「ピクテ・ゴールデン・リスクプレミアム・ファンド」をはじめ「りそなラップ型ファンド(安定成長型)」などのバランス・ファンドは極力分配金を出さずに再投資するファンドだが、「次世代米国代表株ファンド『メジャー・リーダー』」や「フィデリティ・Jリート・アクティブ・ファンド」などの株式ファンドに関しては、毎月決算型、または、決算ごとにできるだけ分配金を払い出す仕組みのファンドになっている。この使い分けは、投資期間との関係で考えるとわかりやすい。

広島銀行の売れ筋に入っているバランス・ファンドは、リスクを抑えながら緩やかな右肩上がりのパフォーマンスになっている。2024年1月から2025年9月12日までを振り返ると、人気トップの「ピクテ・ゴールデン・リスクプレミアム・ファンド」は1年9カ月で基準価額が30%以上値上がりしている。1年目のピークは25%足らずの水準で、2年目に入って1年目のピークを越えてきた。同じ傾向は売れ筋バランス・ファンドの全てに共通していて、もっともリスク水準が低い「りそなラップ型ファンド(安定成長型)」も1年目のピークは12%強の水準だったが、2年目は17%を超えた。2024年1月以降は、2024年8月と2025年4月に2度の大きな下落局面を経験しているが、その下落を乗り越えて高値を更新している。

このパフォーマンスの推移は、株式ファンドと比較すると優位性が明らかだ。株式ファンドは、基準価額の上下動が大きく、タイミングによってはバランス・ファンドを大きく上回る場合もあるが、1年、2年などの一定の期間で評価すると、大きく上がった後で下落するなど期間トータルではそれほど上昇していないことがある。結果的に安定的に上昇しているバランス・ファンドの方が一定期間でのリターンが大きいということになる。

もちろん、株式ファンドの場合、10年、20年などという長期の投資期間をとると、バランス・ファンドを大きく上回る成績になることもあるため、1年~2年程度の期間で評価することはできない。10年、20年という長期の投資の場合は下げ幅も受け入れられる。また、分配金を途中で受け取るということも、長期で投資をしていると考えると、合理性はある。

ただ、下落を受け入れられない場合は、バランス・ファンドを選ぶのもひとつの方法だ。期間によっては株式ファンドよりも優れたパフォーマンスを示しているということは気に留めておきたい。