日本には「金利上昇」への懸念があるのに日本株の買いがあるのはなぜか

金利上昇に対する懸念もあります。

21日の債券市場で、日本の長期金利は2008年以来の1.61%をつけました。

7月の金融政策決定会合では利上げが見送られましたが、トランプ関税の騒動も何となく一段落し、いよいよ日銀も政策金利の引き上げに踏み切るのではないか、という見通しが広まりつつあります。

7月のコアCPIは前年同月比で3.3%のプラスでしたが、過去に遡ると、消費税導入後という特殊要因を除いてコアCPIが3.3%をつけたのは、1990年12月のことです。当時の長期金利が6%超でしたから、まだ十分に利上げの余地はあります。個人投資家の間では、高値警戒感と利上げ警戒感が強まっていると考えられます。

一方、それでも海外勢が日本株を買っているのは、利上げ警戒感に苛まれている日本の投資家の逆です。

金融引締め政策を行おうとしている日本の金融政策は、海外の動きに対して周回遅れになっています。すでに米国や欧州は金融緩和に転じてきました。理由は、ひところのインフレ懸念が、ほぼ払しょくされたからです。たとえば米国の7月消費者物価指数の前年同月比は2.7%ですし、ユーロ圏では2.0%でした。つまり日本のインフレ率は米国や欧州よりも強まっているのです。

結果、米国やユーロ圏は金融引締めではなく、金融緩和に向けて動き出しました。そうなれば、マーケットはリスクオンになりますし、金融緩和によって市場に溢れた資金の置き場を探さなければなりません。そのひとつとして日本株が選ばれている面があります。

このところの日経平均株価のPERを見ると、7月中旬くらいまでは15倍前後で推移していましたが、このところの株価上昇を反映し、17倍超まで切り上がってきました。確かに、過去の水準と比べれば、PER的には割高になりつつありますが、グローバルで比較すると、

・ナスダック(米国)・・・・・・34倍
・DAX(ドイツ)・・・・・・30.7倍
・SENSEX(インド)・・・・・・25.7倍
・NYダウ(米国)・・・・・・24.7倍
・FT100(イギリス)・・・・・・19.8倍

というように、米国や欧州の株価水準は日本に比べて割高であり、それが日本株への資金流入を促している面もありそうです。