許容できる返済額の上乗せは「プラス1万円まで」が最多
「現在の家賃以下」に次いで多かった回答は「プラス1万円まで」が16.6%だった。これに「プラス5000円まで」の8.4%を加えると、全体の半数近く(47.8%)が家賃以下かあるいは家賃に対して1万円以内の上乗せまでしか想定していないことになる。
この結果から、生活水準を大きく変えることなく無理のない範囲で返済できる金額設定を重視していることが分かる。家賃から住宅ローン返済へと変わったとしても、急激な負担増は避けたいという傾向が明確に表れている。
一方で、「プラス1万5000円まで」「プラス2万円まで」を合わせると22.0%となり、家賃に対して1万円超から2万円以内の上乗せを許容する層も一定程度、存在する。現在の住環境からの改善や不動産という資産を手に入れるメリットを考慮した上で、ある程度の負担増を受け入れる判断をしている層と考えられる。
一方で、家賃に対して「プラス3万円まで」~「プラス10万円超~」と、大幅な上乗せを想定する回答者は合計で27.1%と約3割。特に5万円を超える上乗せを想定している回答者は合計で8.4%と1割に満たない。
結果的に多くの住宅購入予定者が現実的な返済計画を重視しており、収入に対して過度な負担となるローン返済は避ける傾向にあることが示された。
無理のない堅実な住宅ローン計画を
これから住宅を購入しようと考えている人はこれまでの結果を参考に次の点に気を付けると良さそうだ。
・現在の家賃を基準とした返済計画の立案が現実的
・無理のない返済計画が長期的な住宅ローン完済の鍵
・頭金の増額や購入価格の見直しによる借入額の調整も検討する
・返済計画に大きく影響する金利タイプ(固定・変動)を吟味して自分に合った選択をする
住宅ローンの支払いは一般的に長期にわたる。現実的な返済計画を立てることが家計の安定につながるだろう。特に近年の経済状況を考慮すると、無理のない返済計画の重要性はさらに高まっている。
●複雑な仕組みも多い住宅ローン、気になる相談先については後編「「住宅ローンはどこに相談する?」1500人の希望とますます増えるオンライン手続きの実態」にて詳報する。
調査概要 調査名:「住宅ローン利用者の実態調査 【住宅ローン利用予定者調査(2025年4月調査)】」 調査主体:住宅金融支援機構 公表日:2025年6月27日 調査期間:2025年4月30日~5月12日 調査対象:今後5年以内に具体的な住宅の取得予定があり、住宅ローン※を利用予定の1500人(全国20歳以上~70歳未満、学生・無職除く) ※借換、リフォームローン、土地のみローン、投資用ローン除く)