投信をまだ持っていない人に“マウント”を取るよりもっと大切なことは…

一般的に、若い人ほどリスクを取りましょうと言われます。投資は長い時間をかけるほど成功する確率が上がりますし、仮に失敗したとしても、残り時間が長い分だけリカバリーする可能性も高まります。逆に高齢者になるほど残り時間が短くなる分、リスクは取りにくくなります。

ところが、現実にはそれと全く逆の現象が見られます。

内閣府が公表している「年次経済財政報告(令和6年度)」のなかに、「日本の年齢階層別の資産の保有状況」というデータがあります。定期性預金、流動性預金、生命保険、有価証券、その他という5種類に関して、各金融資産額の平均値を算出しているのですが、それによると、24歳以下、25-29歳、30-34歳、35-39歳まで、保有資産全体に占める有価証券の割合は、いずれも12%弱です。

一方、年齢階層が上がるにつれてどうなるのかというと、実は有価証券の保有比率が上昇していくのです。保有資産全体に占める有価証券の割合が最も高いのは、実は70-74歳で、23.77%を占めています。

●年齢階層別に見た金融資産全体に占める有価証券の割合

筆者作成

これは、リスクを取って運用するべき若年層ほど、リスクを取らない傾向が見られることを意味します。ちなみに有価証券は株式、債券、それらをパッケージにした投資信託が該当します。

若年層ほど有価証券の保有比率が低いのは、「この手の投資はある程度の資産を持っている人が行うもの」というイメージを抱いている人が多いからではないでしょうか。

しかし、今や投資信託は100円からでも積立購入できる時代です。他人を見下すような物言いはよろしくありませんが、すでにオール・カントリーやS&P500のインデックスファンドでの積立投資をしている人たちが成功体験を積み上げ、自分の周りの人にその体験話をすることで、リスクを十分に取れる若年層の人たちが、少しでも資産運用に目を向けてもらえることを願います。