「NISAでオルカン(もしくはS&P500)」は大人気だが、日本全体でみると…

いささか余談が過ぎましたが、何を言いたいのかというと、「案外、投資信託は普及していない」ということです。

NISAの制度見直しが行われた2024年1月以降、「NISAはオール・カントリーかS&P500のインデックスファンドで」という風潮が強まり、投資信託による資産運用が注目されました。その代表ともいうべき「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の純資産総額は、7月24日時点で6兆7577億8300万円、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の純資産総額は7兆8235億5500万円にもなっています。

この数字からも、オール・カントリーやS&P500への連動を目指すインデックスファンドの人気の高さはうかがえますし、前出の、NISA口座全体の残高に占める投資信託+ETFの残高の割合を見ても、確かに20歳代で84.19%、30歳代で81.86%という非常に高い割合を示していますが、そもそも総人口に占めるNISA口座の開設率で見ると、20歳代は22.73%、30歳代は33.81%に過ぎませんし、資金循環統計にある家計金融資産の残高を見ても、2025年3月末時点で2195兆円ある家計金融資産残高のうち、投資信託の占める割合は6.0%の131兆円です。ちなみに、2024年末時点における米国の家計金融資産に占める株式・投資信託の割合は51.3%で、日本の18.2%を大きく突き放しています。

一部では、一足先に投資信託の運用をスタートさせた人たちが、「まだNISAで投資信託、始めていないの?」などと、投資信託を保有していない人を下に見るかのような発言が増えているなどと聞きますが、ほとんどの人は投資信託を買っていないのが現状です。