毎月の国民年金保険料はまとめて一括で納付すること(前納)ができます。前納すると、本来の保険料の額より安く納付できることになりお得とも言われます。しかし、前納期間の途中で厚生年金に加入することもあるかもしれません。その場合は年金加入記録上どのような扱いとなり、どのような手続きをすればよいのでしょうか。
会社を辞めて国民年金の保険料を納めることに
豊さん(仮名、58歳)は30年以上会社員として厚生年金に加入してきましたが、5年前に会社を退職して独立、個人事業主になりました。退職まで長く厚生年金被保険者(国民年金第2号被保険者)だったのが、国民年金第1号被保険者に変わることになりました。
第1号被保険者の場合、定額の国民年金保険料を毎月納付しなければなりません。老後のことも考えなくてはならない年齢になり、将来の年金のことも気になっています。将来の年金生活のことも考え、国民年金保険料はしっかり納めておきたいと考えたのでした。
しかし、国民年金保険料はだんだん上がってきています。第1号被保険者になった当時、「前は1万5000円台だったのに上がっているのか……」と、その負担は大きく、どうにか安くできないものかと気になります。2025年度は月額1万7510円となっていますが、その当時の保険料は既に月額1万6000円台になっていました。
第1号被保険者となってしばらくして、保険料を本来の納付期限より前にまとめて納めると1カ月あたりの保険料が安くなるという話を聞きます。本来、各月の保険料は翌月末までに納付しなければなりませんが、この前納制度で納めることで保険料が割引されることになります。当月末に納付する「早割」、6カ月分をまとめて納める「6カ月前納」、12カ月分をまとめて納める「1年前納」、24カ月分をまとめて納める「2年前納」と種類があり、一度に多く前納するほうが割引率も高くなります。
豊さんは貯蓄にも余裕があったため、「保険料納付のためにまとまったお金が必要だけど、前納した方が安くできてお得だな」と、以来、前納で納めることにしました。「2年分前倒しで納めれば、保険料の1カ月分相当が安くなる」という事実に気が付いたこともあり、2回目以降の前納では2年前納を活用して保険料を納め続けることに決め、2025年度分と2026年度分も2年前納で納付しました。