新卒初任給を「引き上げる」企業は7割超
2025年4月には新卒社員が入社してくるが、初任給を引き上げる企業はどれくらいあるのか。今回参考にしたのは帝国データバンクによる全国1519社を対象とした調査だ。
結果をみると、初任給を前年度から「引き上げる」と回答した企業は71.0%にのぼった。引き上げると回答した企業に対して、さらに引き上げ額を聞いたところ、最も回答率が高いのは「1万~2万円未満」で41.3%、平均は9114円だった。
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「社員の生活のために初任給を引き上げる」 企業の生の声を紹介
同調査に寄せられた企業のコメントからは、「応募が来ないため引き上げるが、固定費が上がるのは中小企業にとってかなり死活問題」(小規模企業、建材・家具、窯業・土石製品製造)、「既存社員の賃上げも同等に行う予定。増加した給与分を補填するために売り上げを増加させる努力はするが、それと同時に今まで以上に国の支援策も求める」(中小企業、機械・器具卸売)、など、人手不足や物価高騰と業績とは別問題であることから、対応に苦慮する声があった。
また既存社員の不公平感を懸念してか、「初任給の引き上げにともない、既存の若手社員との逆転現象が起こらないよう給与の引き上げを行う」(大企業、飲食料品・飼料製造)、「物価高による既存社員の生活への影響を考慮して全体の賃上げも行う」(中小企業、情報サービス)、という意見もあった。
さらに同じ人材確保でも、「初任給を引き上げるよりは、入社後3~5年程度経った社員など、長く勤めることが見込める社員の給与を上げたいと考えている」(大企業、その他製造)、「賃上げする余力がないため、新卒者を採用する代わりに他社の定年を迎えた嘱託社員を積極採用している」(小規模企業、金融)、など新卒ではなく既存社員の待遇改善や、嘱託社員の活用に目を向ける企業もあるようだ。