多くの皆さんにとって50代は老後生活に向けた準備のラストスパートを掛ける時期だと思います。今回は、そんな50代の最大の関心事といえる会社員の60歳以降の老齢年金について説明することにします。

老後生活の収入の柱になるのは、やはり公的年金

公的年金である老齢基礎年金と老齢厚生年金は、「歳を取って働けなくなること」を保険事故とする「保険」という考え方のもと、繰上げや繰下げの制度を活用すれば、60歳から75歳の間でリタイアするタイミングに合わせて、受給を開始することができる制度であるということができます。

厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯の所得に占める「公的年金・恩給」の割合は62.9%となっており、「稼働所得」の26.1%を大きく上回り、公的年金が老後生活費の柱になっていることが分かります。

また、下図にあるように「公的年金・恩給」を受給している高齢者世帯の中で、「公的年金・恩給の総所得に占める割合が 100%の世帯」、つまり年金だけで生活している世帯は41.7%と、シニア世代の多くが公的年金に頼っている様子がうかがえます。

【公的年金・恩給の総所得に占める割合】

 
(出所)「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」(厚生労働省)よりアセットマネジメントOne作成
 

皆さんは、毎年、誕生日月になると送られてくる「ねんきん定期便」をご覧になられているでしょうか?

50代になって送られてくる「ねんきん定期便」は、60歳まで同じ働き方をした場合に65歳から受け取ることのできる年金額が記載されていますので、ご覧になられていない方は、是非ともご自身の年金額を確認されることをお勧めします。老後の準備は、自分がいくら年金をもらうことができるかを知ることから始まります。

自営業やフリーランスの方だと老齢基礎年金のみとなりますので、国民年金基金か確定拠出年金で上乗せを考える必要があると思われますが、会社員や公務員であれば、65歳から受給できる老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計額は、平均して月額16万円程度※になりますので、生活費の基礎部分を年金でまかなうことができます。

もし、年下の配偶者がいらっしゃる場合であれば、配偶者が65歳になるまで老齢厚生年金に配偶者加給年金と特別加算が上乗せになりますので、年間で約40万円が上乗せされます。

※2025年度の年金額から計算。平均標準報酬45.5万円で40年間就業した場合を想定。