令和7年度税制改正大綱により、確定拠出年金(DC)に関して大きな改正が見込まれています。企業型DCの拠出限度額を6.2万円(現行5.5万円)に引き上げるほか、加入者掛金(マッチング)拠出は事業主掛金を超えられないという要件が外されることとなっています。それ以外にも、退職所得の計算時の「5年ルール」が「10年ルール」に見直される予定です。DC制度発足から20年以上が経過し、どうやって受け取るかにも注目が集まるようになってきました。
退職金受給時の税の特別なルール
退職金は、会社を退職してからの生活を支える大切な資産という位置付けもあり、他の所得とは異なる税の計算方法になっています。
■計算式
退職所得の金額 = (源泉徴収される前の退職金額 - 勤続年数に応じた退職所得控除) × 1/2
(所得税)課税額 = 退職所得の金額 × 税率
(住民税)課税額 = 退職所得の金額 × 10 %
退職所得の金額の計算式について、少しずつ見直しが行われています。まず2022年1月1日から「5年ルール」が施行されました。
このときに定められたのが「短期退職手当等」で、勤続年数が5年以下の従業員の退職所得金額の計算方法が変更になっています。
通常は上の計算式にあるように、退職所得控除額を引いた後の残額の2分の1が課税所得となります(以下「2分の1課税」という)。ところが、勤続年数が5年以下の場合、300万円を超える部分については2分の1課税が適用されないことに変更されました。
なお、勤続年数が5年以下の役員に支給する退職金(特定役員退職手当等)については、従前から「2分の1課税」の適用はありません。