1. 多くのモノやサービスが“コモディティ化”される未来

近ごろNVIDIA(エヌビディア)の株価が「AI関連銘柄」として大きく注目されています。しかし、AGIが実現した未来を前提とすると、いま“旬”とされているテクノロジーでさえ、いつかは安価・大量生産化される可能性があります。アルトマン氏が言うとおり、「人工知能(AI)」と「エネルギー」のコストが大きく低下すれば、多くのビジネスやサービスが極めて安価に利用できる世界が到来するかもしれません。

そんな世界がやってきたら、人々はどこにお金を使うのでしょうか。結局のところ「有意義な体験」や「希少な資産」なのかもしれません。

2. 不動産とラグジュアリー――価値が残るもの

■ 都市部やブランドエリアへの集中は続く?

インターネットの黎明期にも「都心の地価は下がる」との予測がありましたが、結果は真逆でした。AGI時代にも「場所を問わず働けるはず」と言われるかもしれませんが、それでも風光明媚な地域や都市部への需要は根強く残るのではないでしょうか。希少な土地は数が限られているからこそ、多くの人に求められれば価格が上がりやすい傾向があります。

例えば、富裕層による需要が旺盛で、開発への規制から希少価値のあるマリーナなど、いわゆる「プレミアムな不動産」は引き続き高い需要を保つかもしれません。規制や立地の制約が厳しいほど供給が増えにくく、結果として希少性が際立つ構造が生まれます。

■ ラグジュアリーブランドや特別な体験

一方で、「あらゆるモノが手に入りやすくなる」という状況では、特別感のあるブランドや、一部の人にしか味わえないサービスがさらなる価値を増すと考えられます。例えば、ハイエンドなファッションブランド、アート、プライベートリゾートでの限定イベントなど。いわゆる「ラグジュアリー」カテゴリーは、その独自のストーリーや希少性ゆえに、実用性や必要性とは別次元の評価を受けやすいのです。