資産形成層にとって「ロボアド」での投資はアリか?

では、実際のところ個人がロボアドを用いて資産形成をする価値はあるのでしょうか。

何もしないよりはした方が“マシ”ですが、ロボアドが資産形成の最適解かどうかについては、何とも言えません。

ロボアドの多くが、5つか7つくらいの質問に答えていくなかで、どのようなポートフォリオが良いのか、ゴール設定した将来に向けて運用資産がいくらになるのかを、おおまかに提示してくれますが、その通りになるという確証はありませんし、運用期間中にAIが自動的に行ってくれるのは、分配金の自動再投資、自動リバランス、自動税金最適化、くらいのものです。

目先、マーケットが急落しそうだからリスク資産の比率を下げる、大底を打って上昇に転じそうだからリスク資産の組入を高める、といったような、マーケットの先を人工知能で予測し、ポートフォリオの最適化を図るというところまでカバーしてくれるロボアドは、少数です。ちなみにFOLIOが提供している「ROBOPRO」は、人工知能が市場動向を予測してパフォーマンスを追及することになっていますが、それが確実に高いリターンを実現してくれるかどうかは、正直なところ分かりません。

このように挙げていくと、果たしてロボアドを使うメリットがどこにあるのか、ということになりますが、ひとつだけあります。

少なくとも証券会社や銀行の窓口に行って、そこで勧められる商品を言われるがまま買うよりは、はるかにマシだということです。

ロボアドには営業目標が一切課せられません。これが証券会社や銀行の窓口になると、自分の営業目標を早く達成したいがために、顧客のリスク許容度やライフプランなど全無視で、自分たちが販売したい商品を押し売りしてくる営業担当者に遭遇してしまうリスクがないとはいえません(もちろん、こうした営業担当者はかつてに比べ減ってはいます)。ロボアドなら、少なくともそのリスクを排除できるわけです。

特に、今まで一度も資産運用をした経験がなく、何から始めれば良いのか、全くわからないという初心者にとってロボアドは、押し売りを一切してこない、そこそこ優れたパートナーになってくれるはずです。