新しい技術が続々と登場するなか、リスキング(技能の再習得、reskilling)が注目されています。
日本のリスキリング第一人者である後藤宗明氏は、40代で3回のクビ、転職活動では100社以上に落とされる経験をしました。自らの経験をもとに、後藤氏はこれからも必要とされる働き方を手にいれるためには、リスキングが大きなカギを握るといいます。
そこでリスキングにおすすめな4つの成長分野を紹介してもらいます。(全4回の1回目)
※本稿は、後藤宗明著『中高年リスキリング』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・再編集したものです。
グローバル分野
訪日外国人数は2024年3月には、ついに月間300万人を超え、単月では過去最高の数値を更新しました。観光立国としてインバウンド需要を戦略的に捉えていく必要があります。
このグローバル分野は、日本の眠れる成長市場なのではないかと思います。海外進出というと、一部の日本の大企業だけに限った話と捉えられてしまう可能性もありますが、インバウンド需要のさらに先を見据えて、今販売している商品、サービスを海外展開していく、ということが考えられます。そうすれば、日本市場における価格維持を気にせず、海外での販売価格を設定できるのです。いうなれば、「今あるものを高く売る」ことができます。
訪日外国人が増えている一方で、2019年12月には23.8%だった日本人のパスポート保有率は、2022年12月には17.1%まで大きく下落しています。これは全国平均の数値で、東京は約30%ですが、地域によっては10%以下のところもあります。
同じ島国でもイギリスのパスポート保有率は2019年時点で76%、アメリカは44%と、大きな差があります。
つまり、この数字から読み取れるのは、コロナ禍の影響もあるかもしれませんが、海外進出を前提とした仕事をしている人がどんどん少なくなっているという現実です。もちろん、パスポートを持っていないにもかかわらず、英語などの外国語が堪能で、輸出業務などでバリバリ活躍している方もいらっしゃるかと思いますが、少なくとも100人中83人の方は海外に行くことを前提に仕事をしていないということです。
訪日外国人は増え続け、日本に対する注目が高まっているのに、日本人は海外に行くことができる人が100人中17人しかいない、これは本当にもったいないことです。
この「もったいない」状況は、働く私たちにとってはチャンスでもあります。外国語を駆使して、訪日インバウンド関連の仕事をする、日本の素晴らしい製品やサービスを海外展開する、といったニーズは、これからも大きくなるはずです。
そこで、こうしたグローバル分野で活躍したいけれども、最初のきっかけを起こせないという方におすすめしたいのが、3カ月間の語学留学です。なぜ3カ月間かというと、国ごとに異なりますが、英語圏ではビザなしで渡航できる期間が最大90日という国が多いからです。また、なぜ語学学校か、というと、海外の大学や大学院へ留学する際に準備や金銭の確保が大変なのとは違って、決断すれば誰でも手軽に行くことができるからです。