増収続くも2期連続で減益、今期は利益3.2倍でV字回復を予想 進捗を確認
最後に業績を確認します。
トレンドマイクロの売り上げは順調に増加してきました。増収は2023年12月期で11期連続です。最終赤字は、株式を公開(店頭登録)した1998年度から1度もありません。
ただし、近年は減益が続いています。2021年12月期は持分法適用会社の株式の売却益から大幅な最終増益となりました。しかし翌2022年12月期は、円安に伴う人件費の増加や投資有価証券の評価損などから減益となっています。
2023年12月期は、経常利益までの段階利益は増益でした。しかし退職給付費用を中心としたリストラ関連費用を特別損失に計上したこと、また税負担が増加したことから、大幅な最終減益となっています。
今期(2024年12月期)は増収増益の見通しです。前期比で売上高は9%の増収、純利益は3.2倍の増加を予想します。前期の一時的な要因(リストラ関連費用、税負担の増加)がはく落するとはいえ、増益の計画は強気の内容といえそうです。
なお、一時的な要因を除いた前期の純利益は137億円でした。また今期は一時的な損益の計上は想定していないとのことです。
【トレンドマイクロの業績予想(2024年12月期)】
・売上高:2710億円(+9.0%)
・営業利益:529億円(+62.3%)
・経常利益:501億円(+38.5%)
・純利益:346億円(+222.4%)
※()は前年同期比
出所:トレンドマイクロ 決算短信
強気の計画ですが、進捗はどうでしょうか。2024年8月に公表された中間決算によると、通期の業績予想に対する進捗率は売上高で49.6%、純利益で51.7%です。上半期までの実績は順調といえるでしょう。
【トレンドマイクロの業績(2024年12月期 第2四半期)】
・売上高:1345億円(+12.5%)
・営業利益:244億円(+34.4%)
・経常利益:263億円(+42.9%)
・純利益:178億円(+50.9%)
※()は前年同四半期比
出所:トレンドマイクロ 決算短信
トレンドマイクロの好調は続くのでしょうか。第3四半期の決算は11月12日に公表の予定です。
文/若山卓也(わかやまFPサービス)