過去3年間のトータルリターンは?

2024年9月末時点の「未来の世界(ESG)」の3年間のトータルリターンは38.18 %(商品分類平均:24.35%)、1年では33.19%(同:20.92%)と、いずれも商品分類平均(追加型/内外/株式)を上回る成績になっている(商品分類は、投資信託協会による分類)。 

4年前の2020年10月に同ファンドに100万円を投資していたとしたら、2024年9月末時点の評価額は166万円になった。約66万円の利益だ。同ファンドの基準価額は2021年末くらいまで堅調に推移していたものの、2022年から2023年半ばまでの期間に低迷している。この期間には、世界的なインフレ(物価上昇)の高進によって各国中央銀行が利上げに動き、世界の株式市場も頭を押さえられたような展開になった。

加えて、この時期は同ファンドが着目する「ESG」については、いわゆるグリーンウォッシュと呼ばれる「見せかけの環境保護対策」が問題視されるようになっていた。2020年以降に世界の規制当局が企業の環境保全アピールに対して、調査を行い、グリーンウォッシュに該当する判断が出た場合は罰金などを科すようになっていた。欧州では2023年3月に「グリーンクレーム(環境主張)指令」案を発表し、2024年2月にEU理事会が正式に採択した。企業が「環境に配慮している」とアピールする際には科学的な裏付けを示すよう求めている。ESGに対する正しい評価が定着するようになれば、同ファンドの投資先にもポジティブな影響が出てくると考えられる。

一方、2020年10月から毎月1万円を同ファンドで積立投資をしていた場合、2024年9月までに積立投資元本は48万円になったことに対し、積立評価額は約67.8万円になった。

(出所)投資信託協会のデータを使って筆者作成

いわゆるESGファンドの場合、社会貢献度は高いものの、残高の少なさや、リターンが低いことが、懸念材料として挙げられることが多い。同ファンドに関しては、純資産総額も順調に積みあがっており、投資家への還元もしっかり行われていることから、評価できるファンドの一つといえるだろう。

結果:4年前に100万円を「未来の世界(ESG)」に投資していたら、
約66万円の利益! 

執筆/ライター・記者 徳永 浩