7年前の今頃…

7年前の2017年9月、歌手の安室奈美恵が芸能界引退を発表したが、この年の1月には米国でトランプ大統領(当時)が就任式を行い、英国はEUからの完全離脱を表明、そして、2月にマレーシアにおいて北朝鮮の金正男氏が殺害され、5月には韓国で文在寅大統領が誕生した。特に、大統領選挙の折からとがった発言が目立った米国のトランプ大統領の政策は経済重視で株式市場に追い風になるとは期待されていたが、その政治手腕は未知数、また、英国のEU離脱は、世界経済にどのような影響を与えるものかと、市場の不安要素になっていた。

2017年の株式市場は、年初から年末まで米国S&P500も全世界株式指数も緩やかな上昇を続ける1年間になった。国内株式市場は、年前半は日経平均株価で2万円前後のもみ合い相場が続いたが、9月から急上昇に転じ、年末の日経平均株価は2万3000円程度になった。2010年代の米国株式市場の動きを中心とした世界株式市場を振り返って「ゴルディロックス相場(適温相場)」という言葉が使われるようになるが、中でも、2017年から2018年半ばまでは、大きな波乱なく緩やかに右肩上がりの相場になった。
※過熱もせず、冷え込みもしない相場

そんな7年前に「楽天・全米株式インデックス・ファンド(愛称:楽天・VTI)」に投資したとしたら、今頃はいくらになっているだろうか?

「全米株式インデックス」とは?

「全米株式インデックス」は、米国の株式市場に上場している投資可能な米国株式3500銘柄以上を時価総額加重平均で組み入れた「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」を指す。そのインデックスに連動する投資成果をめざすETFである「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」(VTI)を実質的な組み入れ対象にしているのが、「楽天・全米株式インデックス・ファンド」だ。

米国株式の代表的なインデックスは「S&P500」(構成銘柄は時価総額上位の500銘柄)や「NYダウ」(米国を代表する30銘柄)などになるが、これらはいずれも大型株式で構成された株式インデックスだ。それに対して中小型株も含めたすべての銘柄を対象にしているという特徴がある。

ここ数年は、「GAFAM(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)」や、GAFAMにエヌビディアとテスラを加えた「マグニフィセント・セブン(M7)」などといった大型株式が市場をけん引する動きが顕著となり、2023年の米国株式市場の値動きのほとんどはM7の値動きで説明ができてしまうといわれるほどに、市場の物色が超大型株式に集中した。このため、「S&P500」の動きと比較すると、「全米株式インデックス」は劣後する動きを続けている。

「オルカン」よりもリターンは上の「全米株式」

「S&P500」が時価総額上位500銘柄という、いわゆる米国の勝ち組企業に投資するインデックスになっていることに比較すると、すべての米国株式となると、当然、そこには時代に取り残された企業、経営者に問題があるような企業も含まれる。もちろん、小型株式で非常に大きな成長が期待できる企業というものも含まれることにもなるが、小型銘柄の株価上昇は、組み入れ比率も小さいために指数への影響は小さいということになる。3500銘柄以上への投資となると玉石混交は否めない。ただ、現在の世界の株式市場が米国株式中心の動きになっていることもあって、「全米株式インデックス」は、「全世界株式インデックス(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス)」に比較すると大きく優位性を発揮している。

(出所)投資信託協会のデータを使って筆者作成