キャッシュレス決済サービス「PayPay」において、簡単に投資信託の積立ができる「PayPayおまかせ運用」が10月2日にサービス開始され、同日に、PayPay、PayPay証券、キャピタル・インターナショナルによる共同記者会見が行われました。

「PayPayおまかせ運用」を一言でいうならば、おなじみのPayPayアプリから、直接かつ全部お任せで積立投資ができるサービス。

直接とは、PayPay画面を開き、機能一覧に進むと「ポイント運用」や「資産運用/NISA(ここが実質的にPayPay証券の口座ページ)」「PayPay銀行」といったアイコンに並ぶかたちで、「PayPayおまかせ運用」が設置されていること。つまり、PayPayアプリ内で“直接”この「PayPayおまかせ運用」へ遷移できるというわけです。

いわば「PayPayおまかせ運用」を切り出したかっこうになっています。その理由として、PayPay証券 番所健児社長は「まだまだ資産運用になじみのない初心者の方も多い中で、(アイコンをタップすれば)開いてすぐにサービスが立ち上がる、PayPayのよいところを活かしたほうがいいと判断した」と説明しました。

そして、「お任せ」とは、PayPay証券が厳選した2本の投資信託から選べば、数ステップで簡単に積立設定を完了させられること。

その2本とは、「キャピタル世界株式ファンド(DC年金つみたて専用)」と「eMAXIS/PayPay証券 全世界バランス」。アプリ上では2つの方針から選ぶ仕様になっていて、「収益を重視」を選ぶと、「キャピタル世界株式ファンド(DC年金つみたて専用)」で運用することとなり、「安定を重視」を選ぶと「eMAXIS/PayPay証券 全世界バランス※1」で運用することになります。2択にあえて絞ることで、初心者の「どれを選べばいいのか分からない」に寄り添っています。

※1 「eMAXIS/PayPay証券 全世界バランス」の詳細は【eMAXIS初のコラボ商品 「eMAXIS/PayPay証券 全世界バランス」は次のスタンダードファンドになるかもしれない!?】をご覧ください。

なお、積立金額は100円以上、1円単位で設定できますが、おすすめは毎日500円の積立。その理由を「メッセージとしての分かりやすさ」とし、「ライバルは500円貯金。無理のない金額である500円を、貯金でコツコツ貯めるよりも、何倍かに増える可能性がある積立投資へ振り向けることで、体験を変えていきたい」と番所社長は説明しました。

今回、「収益を重視」ファンドとして採用されたのは、先述の通り「キャピタル世界株式ファンド(DC年金つみたて専用)」。

世界的に事業を行うマルチナショナル企業から、有望企業に厳選して投資し、運用されるアクティブファンドであり、アメリカでは「ニューパースペクティブ・ファンド」として1973年から運用されています。そのパフォーマンスはオールカントリーインデックスを上回る実績を誇ります※2。

※2 厳密には、「ニューパースペクティブ・ファンド」は米国籍のファンドで、日本では販売されていませんが、「キャピタル世界株式ファンド(DC年金つみたて専用)」の実質的な主要投資対象ファンドである「キャピタル・グループ・ グローバル・ニューパース ペクティブ・ファンド(LUX)」と同様の投資手法を用いています。

キャピタル・インターナショナルの小泉徹也社長はPayPay、PayPay証券との協業について、「日常生活の一部に投資が組み込まれていく――そういう社会に変えていくことが大切だと考えている。今回、こうしてPayPay、PayPay証券とビジネスを始められることは、素晴らしいと思っている」と期待を述べました。

会見の場では、PayPayのホットトピックとして、「PayPay給与受取サービス」の紹介も。

その名の通り、給与をPayPayアカウントで受け取れるサービスですが、「PayPayへのチャージの手間が省け、給与を受け取ってそのまま日々のお買い物に使える」「PayPay残高を送る・受け取る機能を使い、配偶者や子供への送金が簡単にできる」といった暮らしの利便性もさることながら、「PayPayおまかせ運用」を設定しておけば、シームレスに、半自動で積立投資をすることが可能です。PayPayの安田正道副社長は「PayPayは(祖業が決済で)決済がメインのプラットフォームだが、その決済のプラットフォームをベースに保険、銀行、証券といった金融のエコシステムをさらに強いものにしたい」と展望を語りました。

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ネット証券は、SBI・楽天の2強時代だとしばらくいわれてきました。

しかし、まるで「日々、コンビニでコーヒーを買うかのように」気軽に投信を購入することができ、初心者がハードルに感じるさまざまな障壁を下げ続けるスマホ証券は、今後ますます存在感を増す可能性が。

スーパーアプリを標榜するPayPay、そしてPayPay証券が今後どのようなサービスをリリースしていくのか、動向に注目です。