多くのシニアが痛感している“年金以外”の2つの課題
「仕事はお金を稼ぐため」と考えると、確かに定年後は現役時代ほど稼げないので、ファイナンシャル的にはネガティブになってしまいます。しかし、筆者はセカンドキャリア支援で多くのシニアと話す中で、定年後の本当の不安はもっと別のところに潜んでいると感じています。
まず大きな不安要素は孤独です。定年後に老後資金に余裕があったとして、「年金で生活をして、足りない分は貯蓄を切り崩していけばいい」と働かないでいると、次第に人との交流が少なくなり、1人取り残された感覚に陥ってきます。
人は現役時代に生活のために働きストレスを感じてきた経験から、定年後は生活のために働かなくてもいいのではと思いがちです。しかし働かないことで孤独という新たな問題が浮き彫りになってくるのです。
もう1つの課題は健康に関する不安です。60歳を超えてくると、身近な人が病気になり、死に直面することも起きてきます。親の介護をしなくてはいけない状況に置かれる方も出てくるでしょう。そうなれば介護への出費や、いずれ自分もそうなるのではという不安も出てきます。
自分自身も健康診断の結果で検査値に異常値が出ると胸騒ぎがします。今は健康であっても近い将来かかる医療費や、もしもの時の施設利用代などを考えると、蓄えがあったとしても不安はつきまとうものです。
そこで定年後は、「生活のために働く」のでなく、「自分のために働く」という考えにシフトし、積極的に働く気持ちを持つことが大切になってきます。