後ろ向きの理由では行動に結びつかない?

仕事に不満なのに意外と転職には至らないギャップの背景には、もちろん転職市場の違いもあるでしょうが、何か考え方の違いがあるのかもしれません。調査では、現在の仕事を辞める可能性が高い理由も質問しています。

結果、世界全体、日本ともに「報酬が低い」を挙げる人が最多。予想どおりの結果ですが、世界全体と比べると日本が高めなのが気になります。最近は少しずつ賃上げも進んでいますが、今後改善されるのでしょうか。

また、世界全体では「キャリア形成機会の欠如」を挙げる人が2位。キャリアとは仕事の経歴のこと。自分の市場価値を上げるため、よりよいキャリアを求めて転職するモチベーションが高いようです。

それに対し日本では「仕事にやりがいがない」「仕事のワークロード(仕事量)」を挙げる人が2位、3位に入るなど後ろ向きの理由が多く、キャリア形成など前向きな理由は上位に見当たりません。

後ろ向きの理由だけでは、よほど仕事にやりがいがなかったり、激務だったりしない限り、転職活動の原動力になりづらいのかもしれません。

図表2 現在の仕事を辞める可能性が高い理由は何ですか?

出典:フィデリティ・インターナショナル 「フィデリティ・グローバル・センチメント・サーベイ2023」

調査概要
調査名:フィデリティ・グローバル・センチメント・サーベイ2023
調査主体:フィデリティ・インターナショナル
調査時期:2023年7月~10月
調査方法:インターネットで実施
調査対象:世界23の国・地域(英国、フランス、イタリア、ドイツ、スペイン、オランダ、アイルランド、デンマーク、スイス、スウェーデン、サウジアラビア、UAE、米国、カナダ、ブラジル、メキシコ、日本、香港、インド、中国、オーストラリア、シンガポール、韓国)でそれぞれ1,000人(米国、日本、中国は2,000人)の20歳~75歳までの合計26,000人