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今週の注目ニュースはTSMC(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー)の月次売上に関するものです。

半導体の7月相場とTSMCの関係を図式化すると次のようになります。7月が始まってまだ2週間ですが、この2週間は半年分ほどの材料があると考えられます。

 

まず、アメリカのISM統計と雇用統計が悪化したことにより、景気後退の可能性が示唆され、2回の利下げがあるかもしれないという見方が出てきました。元々は1回程度の利下げが予想されていましたが、高金利派が優勢だった中で、2回の利下げの可能性が出てきたところで今週が始まりました。

今週は日経平均の7月限SQ(Special Quotation)があります。先ほど言及した通り、4万1000円を超えたあたりから大幅な上昇相場が始まりました。月曜日の時点でこのような状況でしたが、火曜日には日経新聞の報道で、日本企業が5兆円規模の半導体投資を行うという内容が出ました。これにより、再び半導体関連の盛り上がりが見られ、火曜日は半導体株が大きく上昇しました。

さらに、ここ数日の動きとして、火曜日の夜にパウエルFRB議長が議会証言を行いました。この中で、9月の利下げに否定的な姿勢を示したと報道されていますが、実際の発言を日本語で解釈すると「過熱感はなくなった」という表現を使ったのです。

これは巧みな言い回しで、景気は悪化していないが、過熱もしていないという意味合いを持ちます。実際には多少の悪化があって過熱感が取れたのかもしれませんが、「悪化」という言葉を使うと株式市場に過度にネガティブな影響を与える可能性があるため、バランスの取れた表現を選んだと考えられます。実際、この日(7日)のアメリカ株式市場では、S&P500やナスダック総合指数は上昇しました。

そして、10日に至ります。CPI(消費者物価指数)の発表が11日に予定されていましたが、10日の日本時間午後2時30分にTSMCの6月の月次売上が発表されました。この売上高は前年比33%増でした。

 

TSMCは7月10日に6月分のデータを発表する半導体メーカーであり、これは非常に早い情報開示となっています。TSMCの月次売上データは、世界の半導体生産に関する最も早く、最も確実な情報源となっています。ただし、この発表されている数字の解釈には注意が必要です。

TSMCのデータは、2006年4月からのデータが公開されています。台湾ドルベースで、当月の売上高、前月比、前年同月比が記載されています。このデータはTSMCのホームページの投資家向け情報セクションにある月次売上の項目で確認することができます。

データは上昇傾向を示しており、月次データ、3カ月平均、6カ月平均の3種類が記載されています。今回注目された33%増という数字は、1年前と比較した数値です。3カ月平均で見ると40%増、6カ月平均で見ると28%増となっています。

TSMCは熊本にも工場を建設するなど、世界中で生産能力を拡大しています。そのため、データには生産能力の増加トレンドが反映されています。同時に、金融危機時の急落や、半導体の生産過剰とその反動などの影響も見られます。

このグラフを継続的に観察することで、いくつかの特徴が見えてきます。例えば、前年比でマイナスになる期間や、逆に20%以上の成長が続く期間などが確認できます。これらは、生産能力の大幅な増加や、大規模な設備投資、重要な技術革新、NVIDIAからの大量注文など、様々な要因によるトレンドの変化を示していると考えられます。

 

このデータを長期的に観察すると、約4回のサイクルが確認できます。各サイクルは、生産能力の拡大や生産循環などによって特徴づけられています。