新NISA認知度は9割にも上る

2024年1月から始まった新NISA(少額投資非課税制度)の利用状況について、家計診断・相談サービス「オカネコ」を運営する株式会社400Fが7月に実施した調査結果が発表された。全国のユーザー919人を対象としたこの調査は、新NISA開始から半年が経過した時点での実態を明らかにしている。

調査によると、新NISAの認知度は91.0%と高く、利用率も52.6%に達した。

 

つみたて投資枠は平均月6.5万円、成長投資枠は平均116万円

新NISAは、2種類の投資枠を活用して非課税で投資できる制度だ。毎月コツコツ積み立てたい人向けの「つみたて投資枠」と、まとまった資金で積極的に投資に挑戦したい人向けの「成長投資枠」がある。今回の調査では、「つみたて投資枠」の毎月の積立平均金額は65,411円で、「成長投資枠」の今年1月~6月の平均投資額は1,161,484円という結果になった。

 
 

年代別に見ると、いずれの投資枠も年代が上がるにつれて投資額が高くなる傾向が見られた。20代以下の若年層は投資経験が浅く、少額から投資を始める傾向がある一方で、50代以上は資金に余裕があり、積極的に投資を行っている様子がうかがえる。

投資対象はアメリカ株、成長株、インデックスファンドが人気

新NISAで投資している対象としては、地域別では「アメリカ株」(62.7%)が、投資対象のタイプ別では「成長株」(55.0%)が、投資信託・ETFのタイプ別では「インデックスファンド(投資信託)」(86.3%)がそれぞれ1位となった。

 

アメリカ株は、S&P500の構成銘柄のように世界経済を牽引する巨大IT企業や、成長が期待されるスタートアップ企業が多く、投資先として根強い人気を誇る。また、成長株は、将来的な企業価値の上昇による大きなリターンが期待できる一方、リスクも高いため、投資経験が浅い場合は注意が必要になるだろう。インデックスファンドは、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」などに代表される、市場平均に連動することを目指す投資信託で、投資初心者でも始めやすい点が魅力だ。

投資未経験者の約4割は「知識がなくやり方がわからない」

今回の調査では、投資・資産運用をしていない理由についても調査を行っている。その結果、「資産運用の知識がなくやり方がわからない」と回答した人が42.0%と最も多く、1月、4月調査に続き、投資未経験者にとっての最大の障壁となっていることが明らかになった。

 

調査結果を総合すると、新NISA制度の認知度は高まっているものの、制度内容の理解や実際の投資行動に結びつけるには依然として課題があることが明らかになった。特に、投資未経験者や若年層に向けた分かりやすい情報提供や教育が必要とされている。

また、つみたて投資枠と成長投資枠の両方が高い利用率を示していることから、長期的な資産形成と積極的な投資の両方のニーズが存在することが分かる。しかし、年代によって投資額に差があることも明らかになり、若年層の投資促進が今後の課題となる可能性がある。

新NISA制度は、個人の資産形成を促進し、「貯蓄から投資へ」の流れを加速させることを目的としている。今回の調査結果は、制度開始から半年という短期間で一定の成果が出ていることを示しているが、同時に、さらなる普及と浸透に向けた課題も浮き彫りにしている。

金融リテラシーの向上や、投資初心者でも利用しやすい環境整備、そして各年代のニーズに合わせた商品開発や情報提供が、今後の新NISA制度の発展に不可欠であると考えられる。継続的な調査と分析を通じて、制度の効果と課題を把握し、より多くの人々が資産形成に取り組める環境づくりが求められている。

 

調査名:オカネコ 新NISAの利用意向調査 2024年7月
調査方法:WEBアンケート
調査期間:2024年7月1日(月)~2024年7月2日(火)
回答者:全国の『オカネコ』ユーザー919人
回答者の年齢:20代以下4.4%、30代 17.3%、40代 26.7%、50代 30.6%、60代 以上21.0%
回答者の世帯年収:400万円未満24.8%、400万円以上600万円未満21.1%、600万円以上800万円未満16.4%、800万円以上1,000万円未満12.0%、1,000万円以上1,200万円未満6.3%、1,200万円以上9.4%、分からない10.0%