国民年金は納付を続けるのがベスト

退職時に忘れてはいけないのが「年金の切り替え」です。退職後、次の会社に入社するまで1日でもブランクがある場合は、住んでいる地域の役所の国民年金窓口で、厚生年金から国民年金に切り替えます。

万が一手続きを忘れたまま未納扱いになってしまうと、将来一部の年金を受け取れない可能性が出てきます(2年以内であれば追納が可能)。

退職によって保険料の支払いが困難な方は、一定の条件を満たしていれば、所定の手続きを経て保険料の納付が免除・猶予となります。しかし、制度を利用したとしても将来の年金額が減ってしまうことに変わりはないので、可能であれば納付は続けておく方が賢明と言えます。

参考:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」

忘れると損する! 企業型確定拠出年金のiDeCo移換

次の転職まで期間がある場合、企業型確定拠出年金(企業型DC)で運用していた資産はひとまずiDeCo(個人型確定拠出年金)に移すことになります。残念なことに、放置して損してしまう人が多いのがこの企業型確定拠出年金。会社が掛金を出していることもあり、存在を忘れられがちなのです。

では、万が一手続きを忘れてしまった場合はどうなるのでしょうか? まず自動移換といって、企業型確定拠出年金の運用資産が「国民年金基金連合会」という団体に自動的に移されてしまいます。そして移された先では運用をしてもらえないため、資産が増えないばかりか各種手数料などによって目減りすることに……。

この状態に陥っている人は案外多く、国民年金基金連合会の資料によると、2024年4月時点で約129万人が、そして2023年3月末時点で約2818億円もの資産が自動移換されています。

手続きをすれば資産は返してもらえますが、自動移換は百害あって一利なし。忙しい中では面倒に感じてしまうかもしれませんが、社会保険の手続きと同じで誰も代わりに行ってはくれません。退職後は忘れないうちに手続きを行いましょう。

<企業型確定拠出年金の手続き方法>

・自分が企業型確定拠出年金に入っているか確認する。分からなければ退職手続きの担当者に聞く

・転職先が決まってなければiDeCoに移換する。期限は6カ月。ギリギリに動き始めても間に合わないので「厚生年金と同時に手続きを進める」と覚えておく

※手続き方法が分からなければ、企業型確定拠出年金のコールセンターに電話すると丁寧に教えてもらえる

参考
・国民年金基金連合会「iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入等の概況」(令和6年4月時点)
・国民年金基金連合会「令和4年度 国民年金基金連合会業務報告書」