高価なのにお得に感じる謎
まず、生命保険に加入したくなる理由を考えていきましょう。
生命保険は加入者が死亡または病気や事故で入院、ガンの診断を受けたなどの際に役立つものです。亡くなる、病にかかるなど本人や周囲の人にとって、肉体的にも精神的にも大きなダメージを受けた時に必要になります。
保険に加入したくなる心理が高まるのは、こういった「リスク」や対処の必要性を身近に感じた際でしょう。
オレゴン大学のポール・スロヴィックは「実際以上にリスクを過大に評価してしまう要素」のリスト化しています。その中でも以下の項目が、特に生命保険との関わりが強いと考えられます。
・犠牲者の身元:抽象的でなく身元のわかる犠牲者だと危険意識が高まる
・事故の歴史:過去に良くない出来事があると危険意識が高まる
・個人による制御:被害が自分で制御できるレベルを越えたと思うと高リスクに感じる
・利益:対象がもたらす利益が明確でないと、明確な場合より高リスク
・復元性:うまく行かなかったときに、結果を元に戻せないとリスクが高い
・極度の恐怖:結果が恐怖心を引き起こす場合、危険意識が高まる
これらのリスクと、保険が必要になる事態との整合性を見ていきます。
・「犠牲者の身元」は自分の家族
・「事故の歴史」として家族の死や病気は、自分や身内で経験した人も多いはず
・事故に対して「個人による制御」はできない
・これによる「不利益」は精神面から経済面まで見通しがつかないほど大きい
・元に戻るかどうかという「復元性」も、特に死亡の場合はできない
・こうした事故に対しては当然ながら「極度の恐怖」を感じる
このように高いリスクを感じて、人は生命保険に入るのです。