前回は、ファイナンシャル・ウェルビーイングとは何か、についてお伝えしてきました。これは、「将来のライフイベントを適切に把握し、賢い意思決定によりお金に関する不安を解消させ、未来に向けて自律的に行動できる状態」であり、実現のためには生涯のキャッシュフローをマネジメントすることがカギであることを示してきました。
今回は、そのファイナンシャル・ウェルビーイングを実現するための具体的なアクションと、特に“お金の不安”の最大要因の正体を突き止めていきたいと思います。
ファイナンシャル・ウェルビーイング実現のための“4つのステップ”
ファイナンシャル・ウェルビーイングは、ただ単に「客観的な資産・所得がふえる」だけでは実現せず、「自律的に家計行動ができている」ことが重要です。では、この「自律的な家計行動」を実現するにはどうすればよいでしょうか。
ここには4つのステップが必要と考えています。「学び」を得たうえで、自身の家計収支・資産負債の状況や将来家計をシミュレーション等により「把握」すること、そして家計に関する悩みを適切な相手に「相談」し、具体的な金融商品やサービスを活用する「行動」にまで結びついて、初めて自律的な家計行動が成立します【図表1】。
【図表1】 ファイナンシャル・ウェルビーイング実現に向けた4つのステップ
※図をクリックで拡大表示
(出所)三井住友トラスト・資産のミライ研究所作成
これは、心身の健康(Physical Well-being)に向けた取り組みと重ねるとわかりやすいかもしれません。心身の健康についても、健康についての「学び」を得るだけでなく、自身の健康状態の「把握」や、適宜かかりつけ医に「相談」しつつ、健康増進に向けた「行動」をすることで、心身の健康も維持向上されます。“Financial”に関しても、同様のプロセスを経ることが有効と考えられます。