11期ぶり最高益に暗雲 開発中止で減損1000億円

株価の上昇が続く大塚HDですが、足元の業績はどうなっているのでしょうか。今期(2024年12月期)の計画を確認しておきましょう。

大塚HDは2024年2月、今期に純利益が2500億円に達する見通しを公表しました。2014年3月期(1510億円)を大きく更新し、11期ぶりに最高益を更新する計画です。好調な株価の背景には、業績の拡大期待もありそうです。

純利益の更新は、もともと2023年12月期に計画していました。しかしアルツハイマー型認知症の治療薬「AVP‐786」の試験が未達となり、減損が生じてしまいます。期首では純利益を前期比17.5%増の1575億円と見積もっていましたが、結局1216億円と一転して減益(▲9.2%)の着地となっています。

大塚HDは今期こそ最高益を更新する予定です。しかし、その実現は早くも危ぶまれています。原因は、またしてもAVP‐786です。

大塚HDは2024年5月22日、AVP‐786の開発中止を発表しました。試験で期待した結果が得られなかったことを受け、開発を断念したようです。無形資産の帳簿価額がゼロとなったことから、今期でも再び減損を計上する見込みとなりました。減損額は約1000億円としています。

これに伴い、大塚HDは今期の中間までの業績予想を修正しました。為替前提の見直しと織り込んでいなかったマイルストン収入から、売り上げと事業利益は上方修正しています。しかし減損が反映される営業利益と純利益は4割の下方修正となりました。

【業績予想の修正の内容(2024年12月期第2四半期まで)】
・売上高:1兆0370億円→1兆1000億円(+6.1%)
・事業利益:1645億円→1850億円(+12.5%)
・営業利益:1680億円→950億円(▲43.5%)
・純利益:1260億円→740億円(▲41.3%)
※()は前回予想からの増減率

出所:大塚HD 業績予想の修正及び減損損失の計上に関するお知らせ(2024年5月)

期首の予想純利益2500億円から減損見込み額1000億円を差し引くと1500億円となります。過去最高(2014年3月期、1510億円)にわずかに届かない金額です。ただし大塚HDはグローバル4製品やニュートラシューティカルズ事業が堅調に推移しているとしています。

大塚HDは減損をこなし最高益を更新できるのでしょうか。通期の予想は2024年7月31日に公表の予定です。