「当たり前の幸せ」を実感するために必要な視点

あなたは自分の豊かさについて考えたことがあるでしょうか? そもそも、豊かさについて真剣に考えたことがない人がほとんどでしょう。「今より豊かになることはないのでは?」と未来を悲観的に捉えている人もいるかもしれません。

でも、あなたの生活は歴史的に見れば最も豊かな水準にあります。日本で暮らしていて日常的に生命を脅かされることはありません。泥棒や強盗のような犯罪を心配することも少ないでしょう。世界的に見れば、喫茶店や電車内でうたた寝できるのは驚くべきことで、安全な社会環境が日本にあることを示しています。また、上下水道や電気ガスなどの整備状況、道路や電車などのインフラの整い方、水が安全で安価に手に入ること、食の不安の少ないことなども、日本の豊かさの象徴です。

これらも数行で書いてしまうと当たり前のことを羅列しているように思えますが、海外に出かけたことがある人は強く実感したことがあるはずです。日本に暮らしていると気付くことが難しい「当たり前の幸せ」はたくさんあるのです。

日常生活の水準も歴史的に最高の豊かさです。このコラム、多くの人はスマートフォンで読んでいると思いますが、インターネット回線が高速かつ手軽に利用でき、それをスマートフォンやタブレットという技術革新により簡単に使えるようになったのも、まさに豊かさです。情報の受信だけでなく発信も簡単にできるようになりました。

住環境もそうです。50年前に学生が一人暮らしをすると「トイレ共同、風呂なし、エアコンなし、壁うすくて音が筒抜け」というものでしたが、今では考えられません。細かいところで私たちの生活はアップグレードされてきたのです。

もしかしたら、自分と過去の日本とを比べる視点を持てば、今よりちょっと幸せを多く実感ができるようになるかもしれません。