株価はライバルより好調 イオンによる子会社化が下支え

苦戦しているのはキャンドゥだけではありません。インフレに伴うコストの増加は100円ショップ業界の全体で起こっており、上場する3社はいずれも減益傾向にあります。

【100円ショップ上場3社の純利益(2022年度)】

         純利益     前期比  
 セリア 102.54億円 -40.47億円
 ワッツ 2.51億円 -6.52億円
 キャンドゥ -4.52億円 -4.40億円

※セリアは2023年3月期、ワッツは2023年8月期、キャンドゥは2023年2月までの12ヶ月間(キャンドゥの2023年2月期は決算期の変更に伴い15ヶ月間の変則決算。通期の純利益は-3.43億円)

出所:各社の決算資料

しかし株価の値動きは異なります。セリアやワッツの株式が低迷する中、キャンドゥの株価は右肩上がりに上昇しました。このキャンドゥ株式の好調の背景にはイオンによる子会社化があります。

イオンは2021年10月、キャンドゥ株式の公開買い付けを実施しました。公開買い付けは同年12月までに2回実施され、イオンはキャンドゥの議決権の過半を取得します。この取引によりキャンドゥはイオンの連結子会社となりました。

イオンは100円ショップが同社の既存事業との親和性が高いと考え、キャンドゥの子会社化に踏み切りました。またキャンドゥ側にも出店機会の増加が見込めるメリットもありました。

このような思惑から、キャンドゥはイオングループ傘下となります。同業他社と比較しキャンドゥの株価が堅調だったのは、イオンという強力な買い手が現れたこと、またイオンとキャンドゥの協業が投資家に期待されたことなどが背景にあるとみられています。