【費用面】iDeCoは制度上の費用がかかる。NISAは相対的に低い

実際にお金を他人に預けるとか運用してもらうために託す場合には、iDeCoやNISAでなくても、何らかの形で金融商品やサービスを通じて行うことになり、そこには手数料がかかります。それが銀行預金の場合には、私たち預金者は貸出金利よりも低い預金金利でお金を預けることにより、その金利差を実質的な手数料として銀行に支払っています。投資信託を通じて運用する時も保険商品でも手数料等がかかりますが、表面上の手数料として示されているのか、商品の中に含まれているのかによって見え方が違うだけです。

その中で、時間の経過とともに昔と比べて手数料が大きく下がったのは、投資信託です。昔はかなり高かったのですが、手数料を分かりやすい形で開示するルールが定められ、ネットなどで比較されることにより競争原理が働き、現在では私から見ても「こんなに低くていいの?」と思うくらい低い水準にあります。ですから、投資信託を選ぶ際に昔ほど手数料に躍起にならなくてもよい商品が並んでいます。

その中でも、NISAつみたて投資枠では利用できる投資信託の条件により、買い付け手数料ゼロ、運用期間中にかかる手数料もタイプごとに上限が定められていて、より安心できるのはすでにお話しした通りです。iDeCoに採用されている投資信託も騒ぐほどではありません。企業型であれば各運営機関、個人型iDeCoは金融機関が投資信託を採用しますが、長期投資を前提にした制度で運営側も加入者のことを第一に考えているので、過度に手数料が高い商品は採用していないはずです。このように考えると、商品の手数料水準ではNISAのほうが基準は明確であることによる安心感が際立っていますが、そこまで大きく取り上げるような問題点ではありません。

他方、制度における費用負担には違いがあります。確定拠出年金の企業型は企業が負担を受け持つ部分もあるので一概には言えないのですが、個人型iDeCoには制度上、加入者である個人が負担する費用があります。

2023年時点では、制度に加入している限り口座管理手数料として、年間約2000円かかります。そして、お金を受け取る際にも年金形式で受け取る場合には、一回の受け取りに関して給付事務手数料として440円かかります。大きな金額で利用するのであれば、手数料の影響は相対的に小さくなるのですが、掛け金が少ないとか、受け取る際にこまめに受け取るほど、手数料がかかる計算になります。

たとえば、積立期間として20年間、受け取り期間として15年間、口座を維持したとしましょう。そして、受け取りに際しては、公的年金の受け取りがない奇数月の隔月に年6回、受け取ることにしましょう。このケースではトータル約11万円の費用がかかる計算になります。

上記以外にも、加入時や還付金が生じた場合の事務手数料として、一時的にですが、それぞれ数千円程度かかります。

それに対して、NISAでは制度に関する手数料等は基本的にかかりません。解約する場合や受け取る場合にも、細かい費用はほとんどかかりません。この点も無視できないものです。投資信託などの運用商品にかかる費用ではなく、制度面としてかかる費用という点で比較すれば、NISAに軍配をあげてもいいでしょう。

●第3回【NISAでつみたて vs iDeCo―金融機関選びがより重要なのはどちら?】では、利用時期及び金融機関選びの観点から「NISAでつみたて」とiDeCoの違いについて解説します(5月8日公開予定)。

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