日本取引所グループ株式が買われています。2023年11月には上場来高値(3059円、2021年9月)を更新し、2024年2月は3900円台まで取引されました。
減収減益の前期(2023年3月期)から一転し、今期は発足以来で最高の売り上げと純利益を見込みます。業績改善が期待できること、また日経平均株価が過去最高を更新したことなどから投資家の買いが向かっているようです。
【日本取引所グループの業績】
売上高 | 純利益 | |
2022年3月期 | 1354億円 | 500億円 |
2023年3月期 | 1340億円 | 463億円 |
2024年3月期(予想) | 1430億円 | 540億円 |
※2023年3月期(予想)は同第3四半期時点における同社の予想
出所:日本取引所グループ 決算短信(外部リンク)
日本取引所グループは「JPXプライム150指数」を算出しており、自らも構成銘柄に含めています。同指数の要件のうち、市場評価性(PBR基準)を満たすためです。PBRは6倍を超えて買われており、確かに市場の評価は高いようです(2024年2月現在。出所:日本経済新聞 日本取引所グループ(外部リンク))。
今回は日本取引所グループの概要を押さえましょう。同社の事業内容や業績、また日本取引所グループ株式の取得に関するルールを紹介します。
意外な優良企業 競合の脅威少なく好財務
日本取引所グループは証券取引所を運営する企業です。東京証券取引所グループと大阪証券取引所が合併し、2013年に誕生しました。
証券取引所は企業にとって資金調達の場です。企業は自社株を個人投資家に買ってもらうことで資金を調達し、証券取引所は個人投資家に売買の機会を提供しています。
証券取引所は公益性の高い事業で、運営には金商法上の免許が必要です。したがって参入障壁が高く、競合の脅威は比較的小さいと考えられます。また日本取引所グループはその中でも高いシェアを持っており、2022年は国内の株式売買代金の83%を占めました(出所:日本取引所グループ 有価証券報告書(外部リンク))。
【株式の売買代金のシェア(2024年1月)】
売買代金 | シェア | |
東京証券取引所 | 104兆2589億円 | 88.5% |
ジャパンネクスト証券 | 6兆4502億円 | 5.5% |
Cboeジャパン | 5兆1732億円 | 4.4% |
大阪デジタルエクスチェンジ | 1兆9662億円 | 1.7% |
合計 | 117兆8485億円 | 100.0% |
出所:日本取引所グループ その他統計資料(外部リンク)、ジャパンネクスト証券 統計データ(外部リンク)、Cboe CBOEジャパンレポート(外部リンク)、大阪デジタルエクスチェンジ 月次レポート(外部リンク)
安定した経営環境から日本取引所グループは財務も良好です。株主資本利益率(ROE)は10%~20%、株主資本比率は60%~70%台という高い水準が続いています。